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「公共物使用許可申請が必要」と言われた方へ
「お家の建築にあたって、公共物使用許可申請が必要です」
「この土地に面した水路を使うには、許可を取ってください」
役所や不動産業者からある日突然、聞き慣れない言葉を告げられ、どうすればよいか分からず戸惑っていませんか。専門用語ばかりで、何から手をつけていいのか見当もつかない、という方も少なくないでしょう。その不安な気持ち、とてもよく分かります。
でも、ご安心ください。この記事を最後までお読みいただければ、「公共物使用許可申請」がどのような手続きなのか、その全体像から具体的な手順まで、すっきりと理解できます。
この記事では、以下の点を分かりやすく解説していきます。
- そもそも「公共物」って何?
- あなたの土地に関係するのは「河川法」?それとも別のルール?
- 許可をもらうための具体的な4つのステップ
- もし許可なく使ってしまったらどうなるのか
一つひとつ、一緒に確認していきましょう。
そもそも「公共物」とは?2つの種類を理解しよう
まず、「公共物」という言葉の意味から整理しましょう。これは、国や都道府県、市町村などが管理している、みんなのための土地や施設のことです。大きく分けて2つの種類があります。ご自身の土地の周りにある道や川がどちらに当てはまるか、イメージしながら読み進めてみてください。
1. 法律で管理者が決まっている「法定公共物」
一つ目は、法律によって「誰が管理するのか」がはっきりと決められている公共物です。これを「法定公共物(ほうていこうきょうぶつ)」と呼びます。
例えば、私たちが普段利用する国道や県道は「道路法」という法律で、大きな川(一級河川など)は「河川法」という法律で管理されています。このように、特定の法律に基づいて国や都道府県などが管理しているものが法定公共物にあたります。
2. 地域の道や水路である「法定外公共物」
もう一つは、先ほどの「道路法」や「河川法」といった法律の適用を受けない公共物です。これを「法定外公共物(ほうていがいこうきょうぶつ)」と呼びます。
具体的には、昔から地域の人々が使ってきた細い道(里道:りどう)や、小さな水路などがこれにあたります。地図上では道や水路として色が塗られているため、「赤道(あかみち)」や「青道(あおみち)」と呼ばれることもあります。
これらはもともと国の所有でしたが、地方分権一括法(2000年4月1日施行)により、市町村へ無償譲与され、市町村が所有者として管理しているのが一般的です。ただし、一部は国有財産のまま管理されている場合もあります。もし、使われなくなった里道や水路をご自身の土地として利用したい場合は、用途廃止や払下げといった手続きが必要になることもあります。

河川法と道路法、あなたのケースはどっち?
公共物を使用する際には、その場所に応じた法律やルールを守る必要があります。特に重要なのが「河川法」と「道路法」です。ご自身の状況がどちらに関わるのか、具体的なケースを想像しながら確認してみましょう。
川や水路に関するルール「河川法」
河川法は、洪水などの災害を防ぎ、川の環境を適切に保つための大切な法律です。河川法に基づく許可が必要になる範囲には、川の水が流れている「河川区域」だけでなく、堤防やその周辺の一定範囲である「河川保全区域」も含まれます。
以下のような行為をする場合には、河川法の許可が必要になります。
- 川を横断する橋や、排水管などを設置する(工作物の設置)
- 河川敷を資材置き場や駐車場として一定期間使う(土地の占用)
- 土地の形を変えるような掘削や盛土をする(土地の掘削等)
これらの行為を自由に行うと、水の流れが変わってしまったり、堤防が弱くなったりする恐れがあるため、事前に管理者の許可が必要となるのです。特に、河川保全区域での住宅建築には、特別な許可が求められます。
道路に関するルール「道路法」
道路法は、道路の安全を守り、誰もがスムーズに通行できるようにするための法律です。道路は公共のものですから、特定の人が独占して使うような場合には許可が必要となります。これを「道路の占用許可」と呼びます。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 工事のために道路上に足場を組む
- お店の看板や日よけが道路の上にはみ出して設置される
- 自宅の駐車場へ乗り入れるために、歩道の一部を切り下げる
これらの行為は、他の通行の妨げになる可能性があるため、道路管理者の許可が必要なのです。運送業の許可申請などで、事業所の前の道路の幅員を証明する書類が必要になることも、この道路法に関連する手続きの一つです。
どちらでもない場合は「法定外公共物」のルール
では、先ほどご説明した「法定外公共物」(里道や水路)に橋をかけたり、管を通したりしたい場合はどうなるのでしょうか。
この場合、河川法や道路法といった国の法律ではなく、その里道や水路を管理している市町村が定めた条例や規則に基づいて手続きを進めることになります。つまり、申請の窓口は市町村役場となり、ルールも自治体ごとに少しずつ異なる可能性がある、という点を覚えておきましょう。法定外公共物の使用許可は、法律に代わって適用される、地域ごとの大切なルールなのです。場合によっては、土地の払下げを検討することもあります。
(参考:e-Gov法令検索|河川法)

公共物使用許可の申請手順【4ステップで解説】
ここからは、実際に許可を得るための手続きの流れを4つのステップに分けて見ていきましょう。全体の流れを掴むことで、やるべきことが明確になります。
ステップ1:まずは窓口で「事前相談」
何よりも先に、そして最も重要なのが、管轄の行政窓口への「事前相談」です。河川であれば土木事務所の河川担当課、道路であれば道路管理課、法定外公共物であれば市町村役場の担当部署などが窓口になります。
この段階で、ご自身の計画(何を、どこで、どのようにしたいのか)を伝え、そもそも許可が必要なのか、どのような条件が付きそうか、どんな書類が必要になるのか、といった点を確認します。この最初の相談を丁寧に行うことが、後の手続きをスムーズに進めるための鍵となります。
ステップ2:申請に必要な書類を準備する
事前相談で確認した内容に基づき、申請に必要な書類を準備します。一般的には、以下のような書類が必要となります。
- 申請書:自治体が定めた様式のもの
- 位置図:申請場所がどこかを示す地図
- 平面図:計画を真上から見た図面
- 構造図:設置するものの構造を示す図面
- 現況写真:現在の状況が分かる写真
これらの書類は、計画の場所を特定し(位置図)、安全性を確認する(構造図)といった目的で提出を求められます。必要な書類や様式は自治体によって異なるため、必ず事前相談の際にしっかりと確認しておきましょう。
ステップ3:申請書を提出し「審査」を待つ
書類一式が準備できたら、窓口に提出します。提出後は、行政側で「審査」が行われます。
審査では、提出された計画が法律や基準に合っているか、周辺への影響はないか、安全性は確保されているか、といった点が詳しくチェックされます。審査には数週間から数ヶ月かかることもあり、内容によっては書類の修正(補正)を求められる場合もあります。計画には余裕を持ったスケジュールで臨むことが大切です。
ステップ4:「許可書」の交付と使用開始
審査を無事に通過すると、「許可書」が交付されます。この許可書を受け取って、はじめて計画していた工事や使用を開始することができます。
許可にあたっては、占用料(使用料)の支払いが必要になることがほとんどです。また、許可には期間が定められており、更新が必要な場合もあります。占用料は毎年発生することもあるため、長期的なコストとして考えておく必要があります。
もし無許可で使ってしまったらどうなる?
「昔からみんな使っているから大丈夫だろう」「これくらいなら問題ないだろう」といった安易な考えで、許可を得ずに公共物を使用することは非常に危険です。
無許可での使用が発覚した場合、管理者から元の状態に戻すよう命令されたり(原状回復命令)、設置したものを撤去するよう指示されたりすることがあります。これに従わない場合、行政が代わりに撤去し、その費用を請求されることもあります(行政代執行)。さらに、罰則が科される可能性もゼロではありません。
特に、土地や建物の売買の際に無許可の状態が発覚し、取引がストップしてしまったり、許可の取得が売却の条件になったりするケースも少なくありません。後々の大きなトラブルを避けるためにも、必ず正規の手続きを踏むようにしましょう。
複雑な手続きは行政書士への相談も検討しよう
ここまで公共物使用許可申請について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。図面の作成や行政との打ち合わせなど、専門的な知識や経験が求められる場面が多いと感じられたかもしれません。
もし、ご自身で手続きを進めることに不安を感じたり、時間がなかったりする場合には、私たちのような行政書士に相談するという選択肢もあります。
手続きを行政書士にご依頼いただくことで、
- 書類の不備を防ぎ、手続きをスムーズに進められる
- 行政窓口との連絡や必要書類のやり取りを任せられる
- 時間的、精神的な負担を大きく軽減できる
といった利点があります。
当事務所では、ご相談者様のお話を最後まで丁寧にお伺いし、リスクも含めてきちんとご説明した上で、最善の方法を一緒に考えさせていただきます。どんな些細なことでも、まずはお気軽にご相談ください。あなたの抱える不安が解消されるよう、誠心誠意サポートいたします。

栃木県佐野市で生まれ育ち、海事代理士・行政書士として活動しています。船舶、農地、墓じまいなどの手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。地域の皆様と共に最善の解決策を考え、誠実に対応いたします。どんな小さなことでも親身に寄り添いますので、どうぞお気軽にご相談ください。
