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「どうすれば…」山林化した農地でお悩みのあなたへ
「先祖から受け継いだ土地が、いつの間にか木々が生い茂る山林になってしまった…」
「管理もできず、毎年固定資産税だけがかかって負担になっている」
「このまま放置していいのだろうか…」
そんなふうに、管理できなくなった農地のことで、一人で頭を抱えていらっしゃいませんか。どうしていいか分からず、不安な気持ちでいっぱいかもしれませんね。
でも、ご安心ください。そのお悩みを解決する一つの方法として「非農地証明(ひのうちしょうめい)」という手続きがあります。
この記事では、山林化してしまった農地をどうにかしたいとお考えのあなたのために、
- そもそも非農地証明ってどんな制度?
- 手続きをするメリットとデメリットは?
- どうやって申請すればいいの?具体的な流れは?
- もし申請が認められなかったら、どうすればいい?
といった疑問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。専門用語は使わず、分かりやすい言葉で解説しますので、役所の手続きが苦手な方も心配いりません。この記事を読み終える頃には、きっと次の一歩をどう踏み出せばよいか、道筋が見えているはずです。
そもそも非農地証明とは?わかりやすく解説
「非農地証明」と聞いても、ピンとこない方がほとんどだと思います。
これは一言でいうと、「見た目はもう畑や田んぼではないのに、書類上(登記簿)は農地のままになっている土地について、そのズレを農業委員会事務局に正式に認めてもらう手続き」のことです。
土地には「農地法」という法律があり、農地は容易に売ったり、家を建てたりできないように守られています。しかし、長年放置されて木が生い茂り、どう見ても農地として使えない状態になっているのに、書類上は「農地」のままだと、この法律の制限を受け続けてしまいます。
そこで、非農地証明をもらうことで「この土地はもう農地ではありませんよ」とお墨付きをもらい、農地法の制限から外してもらうのです。これにより、土地の売買や活用がしやすくなります。

どんな土地が対象になるの?3つの主なケース
では、具体的にどんな土地が非農地証明の対象になるのでしょうか。主なケースは以下の3つです。
- 自然災害で元に戻せなくなった土地
大雨で土砂が流れ込んだり、川の氾濫で石や砂利だらけになったりして、農地として復旧することが非常に難しくなったケースです。 - もともと農地として使えない土地
昔の測量ミスなどで、書類上は農地になっているけれど、実際は岩だらけの土地や急な斜面で、はじめから作物が育てられないようなケースです。 - 長年放置され、山林や原野のようになってしまった土地
今回のテーマである「山林化」した農地がこれにあたります。長年(目安として20年以上)の間耕作されずに放置され、農地に復元することが著しく困難な場合が対象となります。具体的な年数などの基準は自治体により異なるため、事前に農業委員会で確認してください。
ご自身の土地がこれらのどれかに当てはまるかもしれない、と感じたら、非農地証明を検討する価値があるでしょう。
非農地証明のメリット・デメリットを天秤にかける
「自分の土地も対象になりそうだけど、本当に願出した方がいいのかな?」と迷われる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、非農地証明のメリットとデメリットを比べて、ご自身の状況に合うかどうかを判断するお手伝いをします。
メリット:土地活用の可能性が広がる
非農地証明を取得する主なメリットは、以下の3つです。
- 自由に売ったり貸したりしやすくなる
農地法の制限がなくなるため、農業をする人以外にも土地を売ったり貸したりできるようになります。「売りたいけど買い手が見つからない」という悩みが解決しやすくなります。 - 家を建てるなど、土地の使い道が広がる
農地でなくなれば、自分の家を建てたり、駐車場にしたりと、土地の利用方法が格段に広がります。土地活用の道が開けるのは大きなメリットです。 - 地目変更等に伴い評価が変わる可能性があり、結果として固定資産税が下がることもあれば上がることもあります。税額の変動は自治体の評価次第なので、市区町村の資産税担当窓口で確認してください。
土地の評価額は状況によって変わりますが、一般的に「宅地」や「雑種地」などと比べて「山林」の評価は低くなる傾向があります。そのため、地目が山林などに変わることで、固定資産税が安くなる可能性があります。
デメリット:知っておくべき注意点
一方で、申請する前に知っておくべき注意点もあります。
- 農地としての税金の優遇がなくなる場合がある
もし、その土地が農業のための税金の優遇措置(例えば、相続税の納税猶予など)を受けていた場合、非農地証明によってその優遇が受けられなくなる可能性があります。 - 一度証明されると、農地に戻すのは難しい
「やっぱりまた農業を始めたい」と思っても、一度「農地ではない」と証明されると、再び農地として扱うのは非常に難しくなります。将来的な計画も考えて判断することが大切です。 - 申請しても必ず認められるわけではない
書類を提出しても、現地の状況などから「まだ農地に戻せる可能性がある」と判断されれば、証明が認められない(却下される)こともあります。
これらのメリット・デメリットをよく考え、ご自身の土地を将来どうしたいのかを想像しながら、申請するかどうかを決めましょう。
非農地証明の申請方法と5つのステップ
「よし、申請してみよう」と決めた方のために、ここからは具体的な手続きの流れを5つのステップに分けて解説します。この通りに進めれば、手続きの全体像が掴めるはずです。

ステップ1:まずは農業委員会事務局へ「事前相談」
何よりも、まず最初に行うべきことは、あなたの土地がある市町村の農業委員会へ相談に行くことです。これは非常に重要です。
なぜなら、非農地証明の細かいルールや必要な書類は、自治体によって少しずつ違うからです。自己判断で書類を集め始める前に、必ず専門の窓口で確認しましょう。
相談に行く際は、
- 土地の場所がわかる地図(住宅地図のコピーなど)
- 土地の登記情報がわかるもの(権利証や固定資産税の納税通知書など)
を持っていくと、話がスムーズに進みます。「この土地が山林化して困っているのですが、非農地証明の対象になりますか?」と正直に相談してみましょう。
ステップ2:必要書類を集める
事前相談で確認した内容をもとに、必要な書類を集めます。一般的には、以下のような書類が必要になることが多いです。
- 非農地証明願(申請書):農業委員会の窓口でもらえます。
- 土地の登記簿謄本(登記事項証明書):法務局で取得します。
- 地図(公図、案内図など):法務局や市役所、インターネットなどで取得します。
- 土地の現況写真:土地全体の様子や、木々が生い茂っている状況がよく分かる写真を何枚か撮ります。
- 長年、農地でなかったことを示す証拠:昔の航空写真などが有効な場合があります。これは自治体によっては図書館や国土地理院などで手に入ることがあります。
繰り返しになりますが、必ず事前相談で「あなたのケースで必要な書類」を確認してから集めるようにしてください。
ステップ3以降の流れ:申請書の提出から交付まで
書類がすべて揃ったら、農業委員会の窓口に提出します。その後の大まかな流れは以下の通りです。
- 現地調査:農業委員会の担当者や農業委員が、実際に土地を訪れて「本当に農地ではない状態か」を確認します。
- 審査:農業委員会の会議(総会)で、提出された書類と現地調査の結果をもとに、証明を認めるかどうか話し合われます。
- 証明書の交付:無事に審査が通れば、非農地証明書が交付されます。
交付までの期間は自治体や事案により異なります(願出書を提出した後に開催される農業委員会総会後)。各自治体の審議スケジュールや現地調査の有無によって変わるため、事前相談時に所要期間を確認してください。焦らずに連絡を待ちましょう。
もしも非農地証明願が却下されたら?3つの対策
多くの方が一番心配されるのが、「もし申請が認められなかったらどうしよう…」ということだと思います。万が一、非農地証明願が却下されてしまっても、道が閉ざされたわけではありません。落ち着いて、次の3つの対策を考えましょう。

対策1:却下の理由を確認し、再申請を検討する
まずは、なぜ却下されたのか、その理由を農業委員会に詳しく聞くことが大切です。「書類が足りなかった」「写真だけでは長年放置されていた証拠として不十分だった」など、理由がはっきりすれば、対策の立てようがあります。
もし、指摘された点を改善できるのであれば、書類を整え直したり、追加の証拠を集めたりして、再願出に対応していただける可能性があります。諦めずに、まずは却下の理由を正確に把握しましょう。
対策2:農地転用の手続きに切り替える
非農地証明が「現状、もう農地ではない」ことを認めてもらう手続きであるのに対し、「農地転用」という別の手続きがあります。
これは、「今は農地だけれど、これから家を建てるために使わせてほしい」というように、農地を別の目的で使うための許可をもらう手続きです。具体的な利用計画がある場合は農地転用の手続きを検討できますが、都市計画や開発許可の要否など複数の要因で可否が決まるため、事前に自治体や専門家に個別相談してください。
非農地証明がダメでも、農地法関連(農地転用等)業務という別の道があることを覚えておきましょう。
対策3:専門家に相談し、別の解決策を探る
却下理由が複雑だったり、自分でどうすればいいか判断に迷ったりしたときは、私たちのような行政書士にご相談いただくのが有効な選択肢です。
専門家であれば、
- 却下された理由を法的な視点から分析し、再願出の可能性を探る
- 農地転用など、他の手続きの方が適していないか判断する
- そもそも売却や貸し出しなど、あなたにとって一番良い解決策は何かを一緒に考える
といったお手伝いができます。一人で抱え込まず、専門家の知恵を頼ることも考えてみてください。
手続きは専門家へ。中山間地域の実績豊富な当事務所にご相談を
ここまで、山林化してしまった農地の非農地証明について、メリット・デメリットから申請の流れ、万が一の対策までお話ししてきました。
手続きの全体像はご理解いただけたかと思いますが、実際に自分で書類を集め、役所とやり取りをするのは、時間も手間もかかり、精神的な負担も大きいものです。
特に、弊事務所がある栃木県のような中山間地域では、土地の境界が曖昧だったり、状況が複雑だったりと、判断が難しいケースが少なくありません。
行政書士からのワンポイントアドバイス
市街化調整区域や都市計画区域外の農地を、農地以外の用途(駐車場や資材置き場など)として20年以上使っていることが客観的に認められる場合、非農地証明の手続きが認められることがあります。
ただし、これはあくまで行政サービスの一環であり、自治体によっては取り扱いがない場合もあります。また、都市計画法の開発許可など、別の手続きが必要になるケースもあるため、まずは専門家にご相談いただくのが確実です。
当事務所は、中山間地域の農地手続きに対応しております。ご状況を丁寧にお伺いし、非農地証明が最善なのか、あるいは別の方法が良いのか、あなたにとって一番良い解決策を一緒に考えさせていただきます。詳しい実績は面談時にご説明いたします。
「何から手をつけていいか分からない」、「役所に相談に行くのが不安だ」
そんな時は、どうぞお気軽に当事務所にご連絡ください。初回のご相談は無料です(初回30分まで、電話または面談いずれか1回)。あなたのお悩みが少しでも軽くなるよう、誠心誠意サポートいたします。

栃木県佐野市で生まれ育ち、海事代理士・行政書士として活動しています。船舶、農地、墓じまいなどの手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。地域の皆様と共に最善の解決策を考え、誠実に対応いたします。どんな小さなことでも親身に寄り添いますので、どうぞお気軽にご相談ください。
