用途廃止・払下げ申請のやり方|費用や同意書を専門家が解説

「用途廃止・払下げ」とは?まず基本を知ろう

ご自身の土地の中に、今は使われていない細い道や小さな水路が含まれていることに気づき、「これは一体何だろう?」と疑問に思われたことはありませんか。それは、昔の人々が利用していた公共の道や水路(法定外公共物)の名残かもしれません。

この古い道や水路を、正式にご自身の土地として活用できるようにする手続きが「用途廃止」と「払下げ」です。少し難しく聞こえるかもしれませんが、一つずつ見ていきましょう。

あなたの土地にある「昔の道や水路」のこと

昔の土地の地図(公図)を見ると、里道や水路が記されていることがあります。公図では里道が赤、⽔路が青で示されることもありますが、着色されていない公図もあります。

しかし、時代が変わり、周りの環境が整備されたことで、その役割を終えて今はもう使われていないものがたくさんあります。とはいえ、地図の上では今も「公共のもの」として残っているため、ご自身の土地の一部のように見えても、自由には使えない状態なのです。

なぜ「用途廃止」と「払下げ」が必要なの?

では、この手続きをしないと、どのようなことが起きるのでしょうか。また、手続きを済ませると、どんないいことがあるのでしょうか。

もし手続きをしないままだと、その古い道や水路の部分は「公共のもの」として扱われ、家を建てたり、増築したり、駐車場にしたりといった使い方が制限される場合があります。また、将来土地を売りたいと考えたときにも、手続きが済んでいないことが原因で、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。

一方で、きちんと手続きを済ませれば、その部分も含めて土地全体を一体として自由に使えるようになります。土地の形が整い、有効に活用できる面積が広がることで、資産としての価値が高まることも期待できるでしょう。少し手間はかかりますが、ご自身の土地を最大限に活かすために、とても大切な手続きなのです。

用途廃止・払下げが完了し、綺麗になった土地に建つマイホームを眺めて安心する夫婦のイラスト

用途廃止・払下げ申請の全体的な流れ【3ステップ】

複雑そうに思える用途廃止・払下げの手続きですが、大きな流れは3つのステップに分けられます。まずは全体像を掴んで、見通しを立てましょう。

ステップ1:事前準備(調査と境界確定)

最初に行うのは、役所の担当窓口での事前相談です。ご自身の土地にある道や水路が、そもそも払下げの対象になるのかを確認することから始まります。払下げが可能だとわかったら、次に手続きの土台となる非常に重要な作業、「境界確定測量」を行います。これは、ご自身の土地と公共物(道や水路)、そしてお隣さんの土地との境目をはっきりとさせる作業です。この測量は、土地家屋調査士という資格を持つ人が行います。この準備段階を丁寧に行うことが、後の手続きをスムーズに進めるための鍵となります。

ステップ2:申請手続き(書類作成と提出)

準備が整ったら申請です。まず役所へ「用途廃止」の申請(または要望)を行い、認められた後に、役所の案内に従って「払下げ(売払い)」の申請に進みます。

ステップ3:契約と登記(自分の土地にする最終手続き)

申請が無事に認められると、最終段階に進みます。まず、役所と土地の売買契約を結び、購入代金を支払います。そして最後に、法務局で「登記」という手続きを行います。これは、その土地が法的にご自身のものになったことを公的に記録する作業です。この登記手続きが完了した時点で、すべての手続きが終わります。

いくらかかる?用途廃止・払下げの費用内訳

手続きを進める上で、最も気になるのが費用についてではないでしょうか。一体いくらくらい準備すればよいのか、不安に感じる方も多いと思います。費用は大きく分けて3種類あります。それぞれ何のための費用なのか、見ていきましょう。

用途廃止・払下げにかかる3つの費用(専門家費用、土地購入代金、登記費用)の内訳を示した円グラフの図解。

①土地家屋調査士などへ支払う費用(測量・書類作成)

手続きの前半で必要になるのが、土地家屋調査士などに支払う費用です。これには、土地の境目を正確に測るための「測量費用」と、役所に提出する専門的な図面や申請書類を作るための「書類作成費用」が含まれます。土地の形や隣接する土地の数によって金額は変わりますが、数十万円程度がひとつの目安となることが多いです。手続きを正確に進めるために欠かせない費用です。

②市町村へ支払う費用(払下げ地の購入代金)

これは、払下げを受ける土地そのものの値段です。価格は、役所が周辺の土地の評価や取引の状況などを考慮して算定し、提示されます。土地を「買う」ための代金だとお考えください。

③法務局や司法書士へ支払う費用(登記)

手続きの最後の仕上げである登記にも費用がかかります。これには、法務局に納める税金である「登録免許税」と、登記の手続きを代行してもらう司法書士などへの報酬が含まれます。登録免許税は土地の評価額をもとに計算され、司法書士への報酬は数万円程度が目安です。この費用を支払って登記を完了させることで、法的にご自身の土地として認められます。

最重要ポイント「同意書」をスムーズにもらうコツ

この手続きを進める上で、多くの方が一番のハードルだと感じるのが、近隣の方々から「同意書」をいただくことです。ここでは、トラブルなくスムーズに同意を得るための方法を詳しく解説します。

なぜ隣の人の「同意書」が必要なの?

そもそも、なぜお隣さんなどの同意が必要なのでしょうか。それは、昔の道や水路は、ご自身だけでなく、近隣に住む人々にとっても関係がある場所だからです。そのため、「この道(水路)の役割をなくして、あなたが個人の土地として使っても問題ありませんよ」ということを、関係する皆さんで確認し、合意する必要があるのです。この同意書は、その合意を証明するための大切な書類となります。一方的に進めるのではなく、周りの方々と良好な関係を保ちながら進めることが重要です。

誰から同意書をもらえばいい?対象者を確認

では、具体的に誰から同意書をもらえばよいのでしょうか。基本的には、払下げを受けたい土地に直接接している「隣接土地所有者」の皆さん全員です。また、自治体によっては、その地域の「自治会長」や、水路を管理している「水利組合」などの同意が必要になる場合もあります。誰の同意が必要なのかは、手続きを始める前に役所の担当者によく確認しておくことが大切です。

お願いする時の注意点と円滑に進める方法

実際に同意をお願いしに行く際は、丁寧な進め方を心がけましょう。いきなり書類を持って行って「ここに印鑑をお願いします」と言うのは避けるべきです。まずは、「実は、土地のことでこのような手続きを進めたいと考えておりまして、ご協力いただけないでしょうか」と、事前にご挨拶と説明の機会を設けるのがよいでしょう。

その際には、測量図面などをお見せしながら、どの部分が対象になるのかを視覚的に分かりやすく説明すると、相手の方も理解しやすくなります。菓子折りを持参するなど、誠意ある態度でお願いすることも、円滑なコミュニケーションの助けになります。この同意書集めは、手続きの成否を分ける重要なポイントです。

自治体のウェブサイトでも、同意書の必要性について説明されている場合がありますので、参考にされるとよいでしょう。

参照:坂戸市役所の「公共物の用途廃止(払下げ)」の説明

用途廃止・払下げができない場合もある

申請をすれば、必ず払下げが受けられるというわけではありません。残念ながら、認められないケースも存在します。事前に確認しておくべき注意点をいくつかご紹介します。

  • 今も地域の人々が使っている:対象の道が、現在も近隣住民の通路として日常的に利用されている場合。
  • 公共事業の計画がある:将来、道路を広げる計画や、公共施設を建てる計画がその土地にある場合。
  • 排水路として機能している:水路が、今も雨水などを流すための排水路として大切な役割を果たしている場合。

このようなケースでは、公共としての役割がまだ終わっていないと判断され、払下げが認められない可能性が高いです。ご自身の土地がこうしたケースに当てはまらないか、申請前に役所でしっかりと確認することがとても重要です。

まとめ:手続きは複雑。まずは相談から始めよう

この記事では、用途廃止・払下げの手続きについて、その全体像から費用、そして最も重要な「同意書」のもらい方まで、できるだけ分かりやすく解説してきました。

重要なポイントは、

  1. 手続きの全体の流れを把握すること
  2. 測量や購入代金などの費用を準備すること
  3. 近隣関係者の同意書をいただくこと

の3点です。

ご覧いただいたように、この手続きには専門的な知識が必要な場面が多く、ご自身一人ですべてを進めるのは簡単なことではありません。もし、ご自身の土地について「どうしたらいいだろう」とお悩みでしたら、一人で抱え込まずに、まずは役所の担当窓口や、私たちのような行政書士、または土地家屋調査士といった身近な相談相手に声をかけてみてください。最初の一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0283225411電話番号リンク 問い合わせバナー