農地付き空き家にて農地を取得する場合の手続きについて 『添付書類』

空き家バンクに登録された敷地に隣接する農地が空き家付属農地と指定された場合、農地付き空き家の要件を用いて農地法第3条許可申請を行うことが可能になります。通常の許可申請とは異なり追加の添付書類が求められます。追加で求められる書類は主に下記の3点になります。

①取得農地を5年以上継続して耕作する旨の誓約書

空き家取得者が耕作を続けることを条件になされる許可であるため、自らが5年以上継続して耕作する旨の誓約書を提出する必要がございます。

農地取得者自らが耕作を続けることが条件になるため転用行為だけでなく、第三者が耕作する権利を設定することもできません。

この制度の趣旨は投機目的ではなく農業を続けることにより耕作放棄地を解消することもあるため、誓約期間満了後も農地以外に転用行為が認められない場合もございます。

また本誓約書の効力は申請人だけでなく、申請人亡き後相続人にも義務が承継されることになります。

相続人が同居されているご家族の場合は申請人とともに耕作するケースもあるためそれほど負担なく耕作を続けられるものと思われますが、相続人が遠方に在住の甥姪のみの場合にも耕作義務が承継されすぐに売却することができないため、想定以上に負担となってしまいます。

せっかく空き家・不耕作農地が無くなったにもかかわらず、耕作義務のある農地を取得するのは控えたいとの理由から相続手続きが進まなくなってしまい、本不動産が再度空き家・不耕作農地となってしまうことも考えられます。

この様な事態を避けるために、甥姪のうちのお一人に事情を良く説明し承知いただいたうえで承継者として定め、誓約期間満了まで耕作を続けることを条件に全ての遺産を相続させる旨の遺言書を作成する備えも必要になるかと考えます。

②農地利用計画書

本来農地を取得するには下限面積以上の農地を所有していなければ取得することはできませんが、空き家に付属した農地と指定されたものについては下限面積以上の農地を所有していなくても購入することが可能になります。

そのため本制度は新規就農による農地取得とみなされ申請書に利用計画を記入するだけでなく、農地利用計画書を作成する必要がございます。

下限面積以上の農地を取得する新規就農の場合の利用計画書よりも簡易的なものであるため収支計算まで求める市町村は少ないかと思いますが、作付け予定作物や農機具の保有状況(取得済み、売買・リースなどにより取得予定など)は記入が求められます。

申請人以外に耕作予定従事者がいる場合にはその者が年間何日間作業に従事する予定であるかも記入する必要がございます。

③農地等の売買契約書の写し

通常の農地法第3条許可申請では売買契約書の添付は求められませんが、農地付き空き家による許可申請では添付書類として農地等の売買契約書の写しが求められます。

『農地等』とありますので売買契約書には農地とともに空き家も売買する旨の記載が必要になります。農地と空き家をセットで購入する場合に特別に認められる許可になるため、所有権移転登記手続きを同日に行う必要があります。『農地法第3条の許可を受けることを条件とすること』、『農地法第3条許可が不許可処分となった場合は本契約を解除する』などの文言が入った停止条件付き売買契約書にて契約を締結しなければなりません。

正式な売買契約書の写しが求められますので、収入印紙の貼付・割印も忘れずに行ってください。

今後需要のある許可申請になりますが、まだまだなじみのない分野になりますので手続きを進めるにつれて色々と悩まれることもあるかと思います。農地利用計画書や売買契約書の仕上げ方だけでなく、農地付き空き家を取得後の相続手続きなどで悩まれましたら弊事務所にお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0283225411電話番号リンク 問い合わせバナー