農地法3条許可申請の通作経路図|書き方と必要な理由を解説

農地法第3条許可申請で必要な「通作経路図」とは?

農地の売買や貸し借りを行う際に必要となる「農地法第3条許可申請」。その手続きを進める中で、「通作経路図(つうさくけいろず)」という聞き慣れない書類の提出を求められることがあります。

一言でいえば、通作経路図とは「ご自宅から、これから耕作する農地までの道のりを記した地図」のことです。なぜ、このような地図が必要になるのでしょうか。そして、どのように作成すればよいのでしょうか。

この記事では、農地法第3条許可申請における通作経路図の役割から、誰でも簡単に作成できる具体的な書き方、そして農業委員会がこの書類で何を確認しているのかという裏側まで、分かりやすく解説していきます。この記事を最後までお読みいただければ、通作経路図に関するあらゆる疑問が解消され、自信を持って申請準備を進められるようになります。

通作経路図が求められるのはどんなとき?

では、通作経路図は、農地法第3条許可申請を行うすべての人に必要なのでしょうか。実はそうではありません。この書類の提出が求められるのは、主に次のような場合です。

「農地を新しく取得する人(譲受人)が、その農地がある市区町村の外に住んでいる場合」

これが最も代表的なケースです。例えば、東京都にお住まいの方が、栃木県にある農地を借りて週末農業を始めようとする場合などがこれにあたります。

遠くの農地を眺めながら将来の計画を話し合う夫婦のイラスト。農地法3条許可申請のイメージ。

なぜ、市区町村の外に住んでいる場合に特に求められるのか。それは、農業委員会が「本当にその距離を通って、責任をもって農地の管理を続けられるのか」という点を確認したいからです。農地は一度荒れてしまうと、元に戻すのが大変なだけでなく、周りの農地にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、遠くから通う申請者に対しては、より慎重に営農の継続性を審査する必要があるのです。この通作経路図は、その審査のための重要な判断材料の一つとなります。

また、農地を取得する際には、その土地の情報を正確に把握するために農地台帳の確認も欠かせません。

なぜ通作経路図の提出が必要なの?農業委員会の審査の視点

通作経路図は、単に「自宅から農地までの道順を示す地図」というだけではありません。農業委員会は、この一枚の地図から、申請者の「農業に対する本気度」と「継続して耕作する能力」を読み取ろうとしています。

審査のポイントは、大きく分けて次の2つです。

① 農地までの距離や時間が現実的か
まず、純粋に物理的な距離と移動時間を確認しています。例えば、毎日通う必要がある作物を栽培する計画なのに、自宅から農地まで車で3時間もかかる、というのでは現実的ではありません。通作にかかる負担が大きすぎると、次第に農地へ通うのが億劫になり、結果的に耕作放棄地になってしまうリスクが高まるからです。農業委員会は、申請者の営農計画と通作経路図を照らし合わせ、その計画に無理がないかを判断します。

② 本当にその農地で農業を行う意思があるか
もう一つの視点は、申請者の「営農意思の確認」です。通作経路図をきちんと作成し、分かりやすく提出するという行為そのものが、申請者の真剣な姿勢を示すことにつながります。逆に、大雑把な地図を提出したり、明らかに遠すぎるのに何の補足説明もなかったりすると、「本当にここで農業をやる気があるのだろうか」と疑問を持たれてしまう可能性があります。

このように、通作経路図は形式的に提出するだけの書類ではなく、あなたの営農への熱意と計画の実現性を伝えるための重要なコミュニケーションツールなのです。

農業委員会が通作経路図で審査する2つのポイント(①物理的な距離・時間、②営農意思の確認)を解説した図解。

【簡単作成】通作経路図の具体的な書き方と記載例

「地図を作成する」と聞くと、難しく感じるかもしれません。しかし、ご安心ください。通作経路図は、Googleマップのような無料のツールを使えば、誰でも簡単に作成することができます。ここでは、具体的な手順を3つのステップに分けて解説します。

ステップ1:Googleマップで経路を検索・表示する

まずは、パソコンやスマートフォンでGoogleマップを開き、地図の元となる経路を作成します。

  1. 出発地を入力する:ご自身の「自宅住所」や、農業の拠点となる場所の住所を入力します。
  2. 目的地を入力する:申請地の「住所」や近くの目印(施設名など)を入力します。住所が分からない場合は、地図上で場所を探してピンを立てるか、緯度・経度で検索します。
  3. 経路検索を行う:自動車のルートで検索し、自宅から農地までの最適な経路を表示させます。

このとき、画面には総距離(km)と所要時間(分)が表示されます。農業委員会から記載を求められることもあるため、メモしておくと安心です。

ステップ2:地図を印刷し、必要な情報を書き込む

次に、ステップ1で表示した地図を印刷します。用紙サイズや縮尺の指定がある場合は、その指定に合わせます。特に指定がなければ、A4サイズで印刷すると扱いやすいです。印刷した地図には、審査する人が一目で内容を理解できるよう、以下の情報を手書きで加えていきましょう。

  • 出発地と目的地の明記:地図上の自宅と農地の場所にそれぞれ丸をつけ、「自宅」「申請地」とはっきり書き込みます。
  • 経路の強調:Googleマップが示した経路(青い線)を、赤色のペンなど目立つ色で丁寧になぞります。これにより、道順がより明確になります。
  • 主要な目印の追記:経路の途中にある、大きな交差点の名前(例:「〇〇交差点」)、目印となる建物(例:「〇〇市役所」「△△小学校」)などをいくつか書き加えると、地図の分かりやすさが格段に向上します。
  • 距離と所要時間の記載:地図の余白部分に、「総距離:約〇〇km」「所要時間:約〇〇分」と、ステップ1でメモした情報を忘れずに記載します。

これだけの情報を書き加えれば、丁寧で分かりやすい通作経路図の完成です。

【注意】遠い農地を取得する場合のポイント

自宅から農地までの距離が遠い場合、例えば車での移動に1時間以上かかるようなケースでは、単に通作経路図を提出するだけでは不十分な場合があります。農業委員会から「この距離で、本当に継続的な耕作が可能なのか」と、より慎重な審査を受ける可能性があるからです。

このような場合は、通作経路図に加えて、「なぜ遠くても耕作が可能であるか」を具体的に説明する資料を添付することが許可を得るための重要なポイントになります。

例えば、営農計画書などの書類の中で、

  • 「週末は農地の近くにある親族の家に滞在して作業を行う」
  • 「地域の農業者と協力体制を築いており、日常的な管理をお願いできる」
  • 「栽培する作物は、週に1〜2回の管理で済むものである」

といった具体的な事情や対策を説明することで、通作距離が長くても問題なく営農できることを客観的に示すことができます。遠隔地からの新規就農を目指す場合は、こうした工夫が許可の可能性を大きく左右することもあります。

農地法第3条許可申請の通作経路図に関するQ&A

最後に、通作経路図に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 手書きではなく、パソコンで作成しても良いですか?

A1. はい、問題ありません。Googleマップのスクリーンショットを撮り、画像編集ソフトなどを使って文字や線を書き込んでも大丈夫です。ただし、手書きで加えるべき情報(出発地・目的地の明記、経路の強調、距離・時間など)は、パソコンで作成する場合でも必ず記載してください。最終的に見やすく、分かりやすいことが最も重要です。

Q2. 複数の農地を同時に申請する場合、通作経路図はどうすれば良いですか?

A2. 申請する複数の農地が隣接している、または非常に近い場所にある場合は、1枚の地図にまとめて記載して構いません。それぞれの農地の場所に「申請地①」「申請地②」のように番号を振ると分かりやすいでしょう。もし農地同士が離れている場合は、それぞれの農地への通作経路図を個別に作成するのが基本です。

Q3. もし書類に不備があったらどうなりますか?

A3. 農業委員会の担当者が内容を確認し、記載漏れや分かりにくい点があれば、修正や再提出を求められます。申請が即座に不許可になるわけではありませんが、手続きがその分遅れてしまいます。スムーズに許可を得るためにも、この記事で解説したポイントを押さえて、最初から丁寧な書類を作成することを心がけましょう。申請書の

譲渡人・譲受人欄の書き方

なども含め、正確な書類準備が大切です。

まとめ

今回は、農地法第3条許可申請で必要となる「通作経路図」について、その必要性から具体的な書き方まで詳しく解説しました。

通作経路図は、単なる地図ではなく、あなたがこれから始める農業への「真剣な想い」と「継続して耕作できる能力」を農業委員会に伝えるための大切な書類です。この記事でご紹介した手順に沿って作成すれば、決して難しいものではありません。

ポイントは、審査する人の立場に立って、誰が見ても分かりやすい地図を作成することです。丁寧な書類づくりを心がけることで、あなたの営農計画の信頼性は高まり、スムーズな許可取得につながります。

この記事が、あなたの新たな農業への一歩を後押しできれば幸いです。もし、手続きに関してご自身で進めることに不安を感じる場合は、行政書士などにご相談いただくのも一つの方法です。

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