☆農地転用許可手続き不要で転用を行える事例はありますか?
市街化調整区域などにある農地を転用して農地以外で利用したい場合は、必ず転用許可申請を行う必要があります。木を植えることを目的とする場合でも、原則転用許可申請を行わなければなりません。
ただし、果実のなる木(柿・栗・梅・ゆずなど)を植える場合は収穫できる農作物があることから継続して農地として利用するものと認められ、転用許可を経ずに植えることが可能です。松やつつじなど果実のならない庭木を植える場合は、植える箇所を庭として利用するための農地転用許可申請手続きが必要になります。
栃木県内においても最近問い合わせ件数が増えてきました農地を小魚の養殖池として利用する場合も(水田養魚)、農地転用許可申請が必要になります。水田を養殖地として利用する期間は耕作して農作物の収穫を行うことができないことから農地以外の利用とみなされるため、転用許可申請を行う必要があります。
☆市街化調整区域にある農地おいて建築を行う場合は、農地転用許可申請と開発行為許可申請が必要になるのでしょうか?
市街化調整区域にある農地を転用して建築を行う場合、農地転用許可申請と開発行為許可申請の両方の手続きが必要になります。農地転用・開発行為とも許可要件が異なりますので、両手続きの許可要件を満たさなければ申請を行うことはできません。
例外的に農家住宅(林業・ 漁業の業務を営む者の居住の用に供する建築物を含む)や農業用倉庫など、農林漁業活動上必要な施設を建築する場合は開発行為適用除外規定が用いられるため、開発行為許可申請手続きは不要で、農地転用許可申請のみで手続きを進めることができます。
開発行為許可申請手続きは不要になりますが、都市計画法の規定に適合していることを証明する、都市計画法施行規則第60条の規定に基づく証明書の交付を受ける必要はございます。こちらの手続きは開発行為許可申請手続きよりもかなり平易な手続きとなります。
農地法が改正されたことにより、新規就農時に取得が必要な農地下限面積(原則5,000㎡以上)が撤廃されたことにより、農家住宅建築可能な1,000㎡の農地を取得することが容易になりました。1,000㎡の農地取得後であれば都市計画法適用除外規定を用いて農家住宅の建築が可能となるため、敷地面積1,000㎡まで転用可能な農家住宅建築のための問い合わせも増えてきました。
農家住宅は農林漁業従事者が農林漁業を営みやすくするために認められた制度であるため、農林漁業従事者以外の利用は認められません。そのため都市計画法適用除外規定を用いて建築された農家住宅を第三者に売買する際には、都市計画法に基づき用途変更許可申請手続きを行う必要がございます。
用途変更許可申請手続きを行う場合、原則従前の敷地面積にて許可手続きを進めることができるため、500㎡を超えていても専用住宅敷地として認められます。用地変更許可後に第三者に売買をすることが可能になります。
用途変更許可申請を経る前に第三者に譲渡をしてしまった場合、譲受人が農業従事者でない場合は都市計画法に適合しない建築物に居住しているものとみなされてしまい、用途変更を行うことができません。用地変更が行えないため、取り壊し後新たに建築物を建てられない土地となってしまいますので注意が必要です。
農業用倉庫を建築する場合農家住宅敷地のみでなく、住宅敷地から離れた農地において建築することも可能になります。この場合も農地転用手続きに加え、都市計画法の規定に適合していることを証明する、都市計画法施行規則第60条の規定に基づく証明書の交付を受けることにより建築可能になります。
農業用倉庫などの建築の場合、住宅建築と比べ狭小な面積で建築可能なため、200㎡未満の土地において転用を考える方も多いと思います。本来であれば農地転用許可申請手続きが必要になりますが、200㎡未満の土地において農業用施設を建築する場合は許可申請に替えて届出書の提出で手続きを進めることが可能です。
建築行為完了後のうち転用許可証を用い宅地に地目変更を行うことは可能です。ただし宅地に地目変更を行った土地とは言え、開発行為許可申請を受けた土地ではないため、原則住宅を建築することはできません。住宅を建築する場合は開発行為許可申請手続きまたは農家住宅建築の場合は都市計画法施行規則第60条の規定に基づく証明書の交付を受ける必要がございます。
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