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海技士試験の書類準備、何から始めれば…?ご安心ください
「海技士になるぞ!」と決意したものの、いざ受験の準備を始めると、たくさんの書類の山に圧倒されていませんか?「どの書類が自分に必要なの?」「書き方はこれで合っているのかな…」と、専門用語が並んだ手引きを前に、不安な気持ちでいっぱいになっているかもしれませんね。
でも、ご安心ください。そのお気持ち、とてもよく分かります。初めての挑戦は、誰だって戸惑うものです。
この記事では、海技士国家試験の受験に必要な書類について、まるで隣で一緒にお手伝いしているかのように、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を最後まで読み終える頃には、「なんだ、意外と簡単だった!」と思っていただけるはずです。
さあ、一緒に書類準備の第一歩を踏み出しましょう。
まずは全体像を把握、海技士試験の申請書類一覧
何事も、まずは全体像をつかむのが成功への近道です。ここでは、海技士国家試験の申請に必要な書類を一覧にしました。「自分にはどの書類が必要なのか」をチェックしてみてくださいね。
書類は大きく分けて、「全員が必ず用意する書類」と、「あなたの状況によって必要になる書類」の2種類があります。
【全員必須】基本となる申請書類セット
まずは、受験する方全員が準備する書類です。これらは申請の基本セットとなります。
| 書類の名前 | どんな書類? | どこで手に入る? |
|---|---|---|
| 海技試験申請書(第10号様式) | 受験を申し込むためのメインの書類です。 | 運輸局の窓口、または国土交通省のHPからダウンロード |
| 受験票 | 試験当日に必要になる大切な票です。写真を貼ります。 | 運輸局の窓口、または国土交通省のHPからダウンロード |
| 手数料納付書 | 受験手数料(収入印紙)を貼るための台紙です。 | 運輸局の窓口、または国土交通省のHPからダウンロード |
| 戸籍抄本 または 本籍地記載の住民票 | 本人確認のための公的な証明書です。有効期間は手続きや管轄によって異なるため、発行日からの有効期間は管轄の地方運輸局の最新案内に従ってください。一般的には申請日前3〜6か月以内の発行が求められることがあるため、必ず事前に確認しましょう。 |
【条件による】あなたに必要な追加書類は?
次に、受験する試験の種類や、あなたの状況によって追加で必要になる書類です。ご自身がどれに当てはまるか確認してみましょう。
| 書類の名前 | どんな場合に必要? | どこで手に入る? |
|---|---|---|
| 乗船履歴証明書 | 口述試験を受ける場合や、筆記試験で乗船履歴による科目免除を受ける場合に必要です。 | 運輸局の窓口、または国土交通省のHPからダウンロード(会社や船長に証明してもらう必要があります) |
| 海技士身体検査証明書 | 運輸局で行う身体検査を受けずに、指定医の証明書で代える場合に必要です。申請日前3か月以内に発行されたものが必要です。 | |
| 筆記試験合格証明書(のコピー) | すでに合格している筆記試験の有効期間内に、口述試験を受ける場合に必要です。 | 以前受験した運輸局 |
| 海技免状(のコピー) | すでに他の海技免状を持っていて、試験科目の免除を受ける場合に必要です。 | – |
【見本あり】申請書類の書き方と注意点
書類の全体像が分かったところで、次は一番大切な「書き方」を見ていきましょう。特に間違えやすいポイントを、見本をイメージしながら分かりやすく解説します。
海技試験申請書(第10号様式):鉛筆で書くのはなぜ?
申請の顔ともいえる「海技試験申請書」。実はこの書類、国土交通省の記入例に従って記入してください(様式によって印刷倍率や記入方法の指定があるため、最新の記入例の確認が必要です)という、決まりがあります。
「え、大事な書類なのに鉛筆でいいの?」と驚かれるかもしれませんね。これは、申請書を機械で読み取って処理するためなんです。ボールペンなどで書いてしまうと、機械が読み取れず、再提出になってしまう可能性があるので注意しましょう。
記入する際は、国土交通省のホームページにある記入例をよく確認しながら、一文字ずつ丁寧にはっきりと書いてください。特に、受験する試験の区分や、科目免除の有無を間違えないようにしましょう。
受験票:写真のサイズ・ルールは大丈夫?
受験票で一番気をつけたいのが「写真」です。せっかく撮った写真が無駄にならないよう、ルールをしっかり確認しておきましょう。
- サイズ:縦3cm × 横2.4cm
- いつ撮った?:申請する日からさかのぼって6ヶ月以内に撮影したもの
- 写り方:帽子をかぶっていない、背景がない、正面を向いているもの
スピード写真などで撮影する場合は、サイズを間違えないように設定してくださいね。写真の裏には、お名前と撮影年月日を書いてから貼り付けましょう。万が一はがれてしまった時でも、誰のものか分かるようにするためです。
手数料納付書:収入印紙はどこで買う?金額は?
受験手数料は、現金ではなく「収入印紙」で納めます。手数料納付書という台紙に、必要な金額分の収入印紙を貼って提出します。
収入印紙が買える場所
- 郵便局
- 法務局
- 一部のコンビニエンスストア(高額なものは置いていないことが多いです)
試験の区分によって手数料の金額は異なりますので、必ず事前に確認してください。そして、とても大切な注意点が一つ。収入印紙を貼ったら、絶対に自分で割り印や消印をしないでください。印紙は、受付の担当者が確認して消印をする決まりになっています。
意外な落とし穴?「原本確認」を分かりやすく解説
郵送で申請を考えている方が、特に戸惑いやすいのが「原本確認」という手続きです。初めて聞く言葉かもしれませんが、仕組みはとてもシンプルなので安心してくださいね。

そもそも「原本確認」って何のためにするの?
「原本確認」とは、一言でいうと「提出する書類のコピーが、本物と間違いありませんよ」ということを、公的な機関に証明してもらう手続きのことです。
例えば、科目免除のために「海技免状のコピー」を提出する場合を考えてみましょう。窓口で直接申請するなら、職員さんが原本とコピーを見比べて「はい、同じものですね」とその場で確認できます。
しかし、郵送だとそれができません。送られてきたコピーが本当に本物の免状のコピーなのか、確かめようがないのです。そこで、事前に運輸局の窓口で「このコピーは、本物の免状を見て写したものです」というお墨付き(証明印)をもらっておく。これが「原本確認」の役割です。
事前に運輸局で、原本確認の手順と持ち物
では、具体的にどうすればよいのでしょうか。手順はとっても簡単です。
- 原本とコピーを用意する
証明してほしい書類(海技免状や筆記試験合格証明書など)の原本そのものと、そのコピーを両方準備します。 - 最寄りの運輸局へ行く
準備した原本とコピーを持って、お近くの地方運輸局の「海技免許」担当窓口へ行きます。 - 証明印をもらう
窓口の職員さんに「海技士試験の申請で、原本確認をお願いします」と伝え、原本とコピーを渡します。職員さんが内容を確認し、問題がなければコピーの方に証明印を押して返してくれます。
この証明印が押されたコピーを、他の申請書類と一緒に郵送すればOKです。行く前には、念のためご自身の身分証明書(運転免許証など)も持っていくと安心ですね。
【専門家からのひとこと】
海技免状や無線従事者免許証など、科目免除に使う証明書のコピーを郵送で提出する場合は、この「原本確認」が必須となります。手続き自体は難しくありませんが、運輸局の窓口が開いている平日の日中に行く必要があります。お仕事などで忙しい方は、時間に余裕を持って計画的に準備を進めることが大切ですよ。
書類がそろったら|申請方法と提出先
さあ、いよいよ最後のステップ、申請です。方法は2つあります。
1. 窓口へ直接持っていく
一番確実な方法です。受験を希望する地方運輸局の窓口へ、そろえた書類一式を持参します。もし書類に不備があっても、その場で教えてもらえるので安心です。時間に余裕がある方には、この方法がおすすめです。
2. 郵送する
遠方にお住まいの方や、平日に時間が取れない方に便利な方法です。ただし、書類に不備がないか、何度も確認してから送りましょう。郵送する際は、必ず郵便物の追跡ができる「簡易書留」や「レターパック」を利用してください。大切な書類が今どこにあるのかを把握でき、万が一の郵便事故を防ぐことができます。
提出先は、あなたが受験を希望する試験地を管轄する地方運輸局です。間違った場所に送らないよう、提出先もしっかり確認しましょう。
どうしても不安…そんな時は専門家を頼る選択肢も
ここまで書類の準備について解説してきましたが、「やっぱり自分一人で全部やるのは不安…」「仕事が忙しくて、書類を集めたり運輸局に行ったりする時間がない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、海事手続きに注力している海事代理士事務所を頼る、という選択肢があることも、ぜひ知っておいてください。
当事務所では、書類作成や運輸局窓口での申請代理(※代理が可能な手続きに限る)など、手続き面の支援を行っています。詳細はお問い合わせください。あなたは安心して試験勉強に集中することができます。
弊事務所では、海事代理士対応業務一覧として、船舶に関する様々な手続きをお手伝いしております。もちろん、海技士試験の申請サポートも承っております。
「こんな初歩的なことを聞いてもいいのかな?」なんて心配はまったく必要ありません。あなたの船出を全力で応援するのが、私たちの仕事です。もし少しでも手続きに不安を感じたら、どうぞお気軽に手続きに関するご相談・お問い合わせはこちらからご連絡ください。合格に向けた書類準備をサポートします。

栃木県佐野市で生まれ育ち、海事代理士・行政書士として活動しています。船舶、農地、墓じまいなどの手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。地域の皆様と共に最善の解決策を考え、誠実に対応いたします。どんな小さなことでも親身に寄り添いますので、どうぞお気軽にご相談ください。
