地域計画の変更申出書とは?農地転用許可の新ルールを解説

令和7年から農地転用許可のルールが変わります

お持ちの農地を宅地や駐車場などに利用したいとお考えの方へ、大切なお知らせがあります。2025年(令和7年)4月1日から、農地転用許可の手続きに新しいルールが加わります。

これまでと大きく変わる点は、農地転用許可を申請する前に、まず「地域計画」という地域の計画から、あなたの農地を除外してもらうための「変更申出」というワンステップが必要になることです。簡単に言えば、農地転用のための手続きが一つ増える、と考えていただくと分かりやすいでしょう。

「手続きが複雑になるのでは」「計画が遅れてしまうのではないか」とご不安に思われるかもしれません。しかし、ご安心ください。この記事では、なぜルールが変わるのか、そして新しい手続きである「地域計画の変更申出書」とは何か、具体的な進め方を分かりやすく解説していきます。最後までお読みいただければ、新しいルールにしっかりと対応し、大切な土地活用計画をスムーズに進めるための知識が身につきます。

「地域計画」とは?わかりやすく解説

それでは、今回の新しいルールの中心となる「地域計画」についてご説明します。これは、かんたんに言うと「この地域の畑や田んぼを、これからどう使っていくかを決める計画」のことです。一言でいえば、「地域の農地の未来を決める、みんなで話し合って作る設計図」のようなものです。

日本の農業は、農業を担う方々の高齢化や後継者不足、それによって誰も耕さなくなってしまった農地(耕作放棄地)が増えているといった課題を抱えています。そこで、これからのおおむね10年後を見据えて、「この地域のどの農地を、だれが使っていくか」を市町村などが、地域の人と話し合い、地図にまとめていくのが地域計画です。

この計画には、「目標地図」というものが含まれます。これは、具体的にどの田んぼや畑を、将来どの農業者が耕作するのかを示した地図のことです。つまり、地域計画に掲載されている農地は、「将来にわたって農業のために活用していくことが期待されている土地」ということになります。

この取り組みは、以前からあった「人・農地プラン」という考え方を、より具体的に、法的な裏付けを持って進めるために新しくなりました。

なぜ農地転用許可の前に「地域計画の変更」が必要になったのか

では、なぜ農地を転用する前に、この「地域計画」の変更が必要になったのでしょうか。その理由は、地域計画が「地域の農地を守り、有効に活用するための公的な計画」であるからです。

計画に「農業のために使う」と位置づけられている農地を、個人の都合で宅地や駐車場に変えることは、地域全体の設計図に影響を与えてしまいます。そのため、個別の農地転用許可を判断する前に、まずは「地域全体の設計図(地域計画)そのものを見直す」という手続きが求められることになったのです。

単に手続きが一つ増えて面倒になった、というわけではなく、地域の農業の未来を守るという大きな目的があることをご理解いただけると、この新しいルールの必要性が見えてくるかと思います。

令和7年から始まる農地転用許可の新ルールを図解。これまでは「農地転用許可申請」のみだったが、これからは「地域計画の変更申出」というステップが追加され、手続きが増えることを示している。

地域計画の変更申出書とは?手続きの流れを4ステップで解説

ここからは、実際に農地転用を計画している方が行うべき「地域計画の変更申出」の具体的な手続きについて、4つのステップに分けて解説します。全体の流れを掴むことで、計画的に準備を進めることができます。

ステップ1:市町村の担当窓口への事前相談

何よりもまず初めに、そして最も重要なのが、市町村役場の担当窓口(農政課や農業委員会事務局など)への事前相談です。いきなり書類を作成するのではなく、必ず窓口で相談することから始めてください。

相談時には、以下の点を確認・説明すると良いでしょう。

  • 自分の農地が地域計画の対象区域に含まれているか
  • どのような目的(例:自己用住宅の建設)で、いつ頃までに転用したいか
  • 変更申出の手続きに必要な書類や、今後のスケジュール感

この段階で、土地の地番がわかる書類(登記簿謄本や固定資産税の納税通知書など)や、どのような建物を建てたいか簡単なイメージ図を持参すると、話がスムーズに進みやすくなります。ここでしっかりと情報を得ることが、後の手続きを円滑に進めるための鍵となります。

ステップ2:変更申出書の作成と提出

事前相談で方向性が見えたら、次に「地域計画変更申出書」を作成し、必要な書類を添えて提出します。申出書には、主に以下のような内容を記載します。

  • 申出をする人の氏名・住所
  • 対象となる農地の情報(所在地、地番、面積など)
  • 変更を求める理由

特に重要になるのが「変更を求める理由」です。なぜその土地を転用する必要があるのか、説得力のある理由を具体的に記載する必要があります。例えば、「親の介護のために、実家の隣に家を建てたいが、他に適切な土地がない」といった、個人的かつ具体的な事情は、理由として考慮されやすいでしょう。

申出書以外にも、一般的に以下のような書類の提出を求められます。

  • 土地の位置を示す地図
  • 土地の公図の写し
  • 転用計画を示す簡単な図面(配置図など)

ただし、必要な書類や申出書の様式は市町村によって異なります。必ず事前相談の際に確認した上で準備を進めてください。

ステップ3:市町村による審査と公告

申出書が提出されると、市町村の内部で審査が行われます。この審査では、農業委員会や地域の農業関係者との話し合いの場が持たれ、「その農地を転用しても、周辺の営農環境に大きな支障はないか」「地域の農業振興の妨げにならないか」といった観点から、申出の内容が検討されます。

審査にかかる時間は市町村によってちがい、数週間で終わることもあれば、数か月かかることもあります。この期間は、結果を待つことになります。そして、申出が認められ、地域計画の変更が決定されると、その内容が市町村から公告(公にお知らせ)されます。

ステップ4:農地転用許可申請へ

地域計画の変更が認められて、初めて次のステップに進むことができます。それが、本来の目的である農地転用許可申請」です。

ここで非常に重要なのは、「地域計画の変更」と「農地転用許可申請」は全く別の手続きであるという点です。地域計画から農地が除外されたからといって、自動的に転用が許可されるわけではありません。改めて、農地法に基づく転用許可の申請を行い、審査を受ける必要があります。

この順番を間違えないように注意しましょう。無事に農地転用許可が下りた後の手続きも重要です。より具体的な手順については、農地転用許可が出た後の報告については、市町村や農業委員会の案内をご確認ください。をご覧ください。

農地転用の新しいルールについて、実務家に相談している男性のイラスト。手続きの複雑さに不安を感じている様子が描かれている。

新ルールで注意すべきことと全体のスケジュール感

新しいルールで農地転用を進めるにあたり、最も注意すべき点は「従来よりも手続きに時間がかかるようになる」ということです。

地域計画の変更申出には、市町村での審査や関係者との協議が必要となるため、申出から結果が出るまでに数ヶ月を要します。その後、さらに農地転用許可申請の手続きが続くことを考えると、計画の開始から最終的な許可まで、トータルで半年から1年、あるいはそれ以上かかる可能も十分に考えられます。

また、もう一つの注意点として、申出が必ず認められるとは限らない、というリスクも念頭に置く必要があります。特に、周辺に優良な農地が広がっている場所や、地域の農業の中心地となっているような場所では、変更が認められないケースも出てくるでしょう。

だからこそ、転用計画の妥当性や、他に代わりとなる土地がないことなどを、申出の段階でしっかりと説明することが重要になります。ご自身の計画を実現するためには、これまで以上に早めに準備を始め、余裕を持ったスケジュールを立てることが不可欠です。

変更申出や農地転用許可の代行費用はどのくらい?

「手続きが複雑で、時間もかかりそうだ」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合、一連の手続きを私たちのような実務家に依頼するという選択肢もあります。

費用は、手続きの内容や土地の広さ、市町村などで大きく変わります。依頼する場合は、事前に見積りを出してもらい、何が含まれるかを確認しましょう。これには、相談料、書類作成費用、測量が必要な場合の実費などが含まれます。

もちろん費用はかかりますが、実務家に依頼することで、時間の節約になるだけでなく、書類の不備なくスムーズに手続きを進められる可能性が高まります。また、複雑な手続きに関する精神的な負担が軽くなるという点も大きなメリットと言えるでしょう。料金の詳細については、こちらもご参照ください。

自分で手続きする場合と依頼する場合の比較

最終的にご自身で手続きを進めるか、実務家に依頼するかは、それぞれのメリット・デメリットを比較して判断することが大切です。

メリットデメリット
自分で手続きする場合費用を抑えられる・多くの時間と手間がかかる・書類の不備でやり直しになる可能性がある・慣れない手続きで精神的な負担が大きい
実務家に依頼する場合・手続きが進めやすくなり、書類の不備を減らしやすい・時間と手間を節約できる・本業や他の準備に集中できる費用がかかる
手続き方法の比較

今回のルールは始まったばかりなので、市町村によってやり方が少しちがうことがあります。役所での手続きに慣れている人にたのむと、必要な書類や流れを集めやすいことがあります。

まとめ:農地転用は早めの準備と相談が成功の鍵です

今回は、令和7年4月から始まる農地転用の新しいルール、「地域計画の変更申出」について解説しました。

この記事の重要なポイントを改めてまとめます。

  • 令和7年4月以降の農地転用は、まず「地域計画」から農地を除外する「変更申出」が必要になります。
  • これにより、従来よりも手続きに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで計画を始めることが大切です。
  • 手続きの第一歩は、市町村の担当窓口への「事前相談」です。ここでしっかりと情報を集めましょう。

新しい制度が始まるにあたり、ご不安に思うことも多いかと存じます。ただ、流れにそって一つずつ進めていくことで、手続きの見通しが立てやすくなります。大切なのは、計画段階で早めに情報を集め、行動を起こすことです。この記事が、あなたの土地活用計画を成功に導くための一助となれば幸いです。もし手続きでお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

(参考:地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画) – 農林水産省

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