☆墓じまい後の墓地の区画は原状に戻して返還する必要があります
墓地として利用しております土地はお寺が所有権者であり、区画をお寺の承諾を得て利用しているケースが大半になりますので、墓じまい後には所有権者であるお寺に返還しなければなりません。
墓地の区画が空いたからといって、利用する権利を第三者に譲渡することは難しいと考えます。利用する権利を取得する際に契約書や規則に『使用する権利を第三者に譲渡することはできない』と定められていることがほとんどになりますので、この条項を基に利用権を第三者に譲渡することは難しいものと判断できます。
墓じまい後には墓地を原状に戻して返還をする必要があります。『原状に戻す』とは利用する前の状態に戻すという意味となります。現在の状態のことを指します『現状』とは異なり、造作したものを全て取り外し元の状態に復原して返還をしなければなりません。
☆祭祀承継者を事前に指定することも可能になります
祭祀に関する権利は相続財産とは異なりますので、相続手続きの際に祭祀承継者も併せて決定することが望ましいと言えます。遺産分割協議書に祭祀承継者を○○とすると記入し相続人全員の同意を得ることにより祭祀承継者を決定することも可能となります。
相続手続きも祭祀承継者も協議の結果スムーズに決定できれば良いのですが、相続手続きの協議も祭祀承継者の協議もまとまらないまま長い年月が過ぎてしまうケースも見受けられます。
この様な状態を避けるため公正証書遺言を作成し遺産の分配方法の指定とともに祭祀承継者をあらかじめ指定しておくことも可能になります。
事前に祭祀承継者が指定されますと指定を受けた者が改葬手続きや墓じまいを進めていくことが可能になります。
祭祀承継者が決まっていない状態ですとまず承継者を誰にするのかの決定から始めなければなりません。ここで意見の相違が出てしまいますと改葬手続きを進めることが難しくなってしまいます。
公正証書遺言の作成件数は年々増加傾向にあり、平成30年は110,471件となっております。相続争いが表面化していることがテレビなどで取り上げられ、作成することに興味を持たれた方が多い印象です。
今後は遺産の分配方法だけでなく改葬手続きもスムーズに行えるということが世間的に認知されてきますと、遺産の分配方法だけでなく改葬手続きにも重きを置いた公正証書遺言の作成数が増えるのではないかと感じております。