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河川保全地域の住宅建築|河川法55条許可申請をわかりやすく解説
はじめに:河川の近くに家を建てる際の不安、ありませんか?
「川のせせらぎを聞きながら、景色の良い場所で暮らしたい」そんな想いで土地を探し、ようやく理想の場所を見つけた喜びも束の間、「この土地は“河川保全地域”です」と告げられ、頭が真っ白になってしまった…という方はいらっしゃらないでしょうか。
急に専門的な言葉が出てきて、「もしかして、ここに家は建てられないの?」「何か特別な手続きが必要なのだろうか?」と、期待が大きな不安に変わってしまうお気持ちは、非常によく分かります。
ですが、河川保全区域であっても、決められた手続きを行い、許可が得られれば、住宅を建てられる場合があります。この記事では、そのために必要となる「河川法第55条」の許可申請について、一つひとつのステップを丁寧に、分かりやすく解説していきます。法律の難しい話はできるだけ避け、「何を」「どの順番で」進めていけば良いのかが具体的にイメージできるようにお話しします。一緒に不安を解消し、理想の家づくりへの第一歩を踏み出しましょう。
「河川保全地域」とは? なぜ建築に許可が必要なの?
まず、多くの方が疑問に思われる「河川保全地域」についてご説明します。これは、難しい規制というよりも、「私たちの暮らしを水害から守るための大切なエリア」と考えていただくと分かりやすいかもしれません。
川には、大雨が降ったときに水をせき止める「堤防」があります。もし、この堤防のすぐ近くに無秩序に建物が建ったり、土地が深く掘られたりすると、堤防が弱くなってしまう可能性があります。そうなると、いざという時に堤防が壊れ、洪水などの大きな災害につながりかねません。
そうした事態を防ぎ、堤防を守るために指定されているのが河川保全区域です。この場所で家などを新しく建てる、または土を掘ったり盛ったりする場合は、川を管理している役所に前もって相談し、許可が必要になることがあります。これは、安全な暮らしを守るための、とても重要なルールと言えます。
ちなみに、堤防や川の水が流れている土地そのものは「河川区域」と呼ばれ、原則として建物を建てることはできません。河川保全区域は、その「河川区域」に隣接する一定の範囲を指します。

まずは確認。あなたの土地は「河川保全区域」なのか。調べ方を解説
ご自身の土地が河川保全地域に該当するかどうか、まずは正確に把握することがスタートラインです。最も確実な方法は、その土地がある市町村の役所や、その地域を管轄する都道府県の土木事務所に問い合わせることです。
どの課に電話すればよいか分からない場合は、まず役所の代表番号に電話し、「河川法の河川保全地域について確認したいのですが、担当の部署はどちらですか?」と尋ねてみてください。「都市計画課」や「河川課」、「土木管理課」といった部署が担当していることが多いです。
問い合わせる際は、土地の「地番」を正確に伝えられるように、登記簿謄本(全部事項証明書)や公図、固定資産税の納税通知書など、場所が特定できる書類を手元に準備しておくと、話がスムーズに進みます。
河川法第55条許可申請の完全ガイド|住宅建築までの道のり
ご自身の土地が河川保全地域内にあることが分かったら、次はいよいよ住宅建築に向けた許可申請の準備です。ここからは、河川法第55条に基づく許可申請の具体的な流れを、4つのステップに分けて解説していきます。
法律では少しむずかしい言い方をしますが、ここで言っていることは「家を建てること」や「土を掘ったり、土を盛ったりすること」です。全体像を掴むことで、手続きに対する漠然とした不安が和らぐはずです。
ステップ1:まずは事前相談から始めよう
許可申請において、最も重要と言っても過言ではないのが、この「事前相談」です。いきなり書類を作成して提出するのではなく、まずは計画の概要が分かる資料を持って、川を管理する行政の窓口(管轄の土木事務所など)へ相談に行くことを強くお勧めします。
事前相談は、スムーズな許可取得への一番の近道です。この段階で、計画している建物の概要や配置を伝えることで、許可の見通しや、特に注意すべき点、地域ごとの細かなルールなどを教えてもらうことができます。結果的に、後の書類作成の手戻りを防ぎ、時間の節約につながります。
相談時には、以下の様な資料があると話が具体的に進めやすくなります。
- 土地の場所がわかる地図(案内図)
- 土地の形状や隣接地との関係がわかる公図の写し
- 建物の簡単な配置図や平面図(手書きのラフなものでも構いません)
ステップ2:申請に必要な書類を集めよう
事前相談で方向性が見えたら、次は申請に必要な書類の準備に取り掛かります。自治体によって多少の違いはありますが、一般的に以下のような書類が必要となります。
| 書類名 | 内容と入手先 |
|---|---|
| 許可申請書 | 申請のメインとなる書類です。行政の窓口やウェブサイトで入手できます。 |
| 事業計画概要書 | 建築計画の目的や内容を記載します。 |
| 位置図・付近の実測図 | 申請地がどこにあるかを示す地図です。 |
| 土地の平面図・断面図 | 土地の形状や高さ、工作物の配置を示します。 |
| 工作物の設計図(平面図・立面図など) | 建物の構造やデザインを示す図面です。 |
| 公図の写し | 土地の区画や地番を示す図面です。法務局で取得できます。 |
| その他 | 現地の状況写真や、他の法令に関する許認可書の写しなどを求められる場合があります。 |
これらの書類を正確に作成するには、専門的な知識が求められる部分もあります。図面の作成などは、建築を依頼する工務店や設計事務所と協力して進める必要があります。
ステップ3:申請書の提出と審査
すべての書類が整ったら、管轄の土木事務所など、指定された窓口に申請書を提出します。提出された書類は、行政の担当者によって審査されます。
審査では、主に「計画されている建物が堤防の安全性に影響を与えないか」「治水上の問題はないか」といった観点から、専門的なチェックが行われます。書類に足りないところがあったり、確認したい点が出てきたりした場合は、役所から連絡があり、書類を直したり、追加で出したりすることがあります。申請は一度で完了しない可能性もあることを、心に留めておくと良いでしょう。
ステップ4:許可と建築工事の開始
審査が無事に完了すると、「許可証」が交付されます。この許可証を受け取って、はじめて建築工事に着手することができます。長い道のりでしたが、これでようやく夢のマイホーム建築がスタートします。
ただし、許可には「工事期間は〇年〇月までとする」といった条件が付されることがあります。許可証の内容は必ず隅々まで確認し、記載された条件を遵守するようにしてください。
許可を得るための重要ポイントと注意点
単に手続きの流れを知るだけでなく、許可を得やすくするためのポイントを押さえておくことも大切です。審査では、特に以下のような点が重視される傾向にあります。
- 堤防の安全性への影響:建物の基礎が堤防の構造に影響を与えないか、深さや形状が重要になります。
- 排水計画の妥当性:敷地に降った雨水が適切に処理され、周辺に悪影響を及ぼさない計画になっているか。
これらの技術的な側面については、建築を依頼する設計士とよく相談し、計画段階から配慮しておくことが、スムーズな許可取得につながります。場合によっては、雨水浸透槽の設置など、追加の対策が求められることもあります。

どれくらいかかる?申請にかかる費用と期間の目安
多くの方が気になる費用と期間についても触れておきましょう。
費用について
河川法第55条の許可申請そのものに対する手数料は、無料か、かかっても少額である自治体がほとんどです。ただし、申請書類に添付する図面の作成費用や、公図などの取得費用は別途必要になります。また、これらの手続きを行政書士に依頼する場合には、所定の報酬が発生します。
期間について
申請から許可が下りるまでの期間は、自治体によって目安が示されていることがありますが、これはあくまで確認にかかる時間の目安です。実際には、最初の事前相談から始まり、書類の準備、図面の作成、申請後の補正対応などを含めると、数ヶ月単位の時間を見ておくのが現実的です。家づくりのスケジュールを立てる際は、この申請期間を十分に考慮しておく必要があります。
注意点。許可が下りない、または難しいケースとは
誠実な情報提供として、許可が難しいケースについても知っておくことが大切です。以下のような計画は、許可が下りない、あるいは計画の大幅な見直しが必要になる可能性が高くなります。
- 建物や工作物が堤防に近すぎる計画
- 地下室を設けるなど、大規模な土地の掘削を伴う計画
- 土地を高く盛り土し、洪水の際の水の流れを妨げる恐れがある計画
万が一、不許可となってしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。なぜ許可されなかったのか、理由をしっかりと確認し、設計事務所などと相談しながら計画を見直すことで、再度申請に挑戦できる道もあります。
まとめ:手続きの不安を解消し、理想の家づくりへ
河川保全地域での住宅建築は、確かに通常の土地と比べて手続きが増えるため、不安に感じられるかもしれません。しかし、この記事で解説したように、一つひとつのルールを正しく理解し、決められた手順を丁寧に踏んでいけば、決して実現不可能なことではありません。
大切なのは、安全を守るためのルールであると理解し、早めに準備を始めることです。まずは、ご自身の土地が河川保全地域に該当するかを確認し、計画の早い段階で行政窓口へ「事前相談」に行くことから始めてみてください。
もし、書類の作成や行政とのやり取りに少しでも不安を感じたり、お仕事などで時間が取れなかったりする場合には、手続きのプロである行政書士に相談するのも有効な選択肢です。煩雑な手続きは任せて、ご自身は理想の家づくりのプランニングに集中することができます。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、夢のマイホーム実現への確かな一歩となることを心から願っております。

栃木県佐野市で生まれ育ち、海事代理士・行政書士として活動しています。船舶、農地、墓じまいなどの手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。地域の皆様と共に最善の解決策を考え、誠実に対応いたします。どんな小さなことでも親身に寄り添いますので、どうぞお気軽にご相談ください。