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自然災害で農地が…と、途方に暮れていませんか
台風や豪雨、土砂崩れといった突然の自然災害。昨日まで丹精込めて世話をしていた田畑が、一瞬にして変わり果てた姿になってしまった…。その光景を前に、言葉を失い、ただ立ち尽くすことしかできなかったかもしれません。
「これからどうしたらいいのだろう」「もうここでは農業を続けられないかもしれない」
大切にしてきた土地を前に、そのような深い悲しみと、先の見えない不安に襲われているのではないでしょうか。お気持ち、お察しいたします。一人でそのつらい気持ちを抱え込まないでください。
自力での復旧が難しいほどの被害を受けたとき、どうすれば良いのか分からなくなるのは当然のことです。しかし、そのような八方ふさがりの状況でも、現状を乗り越えるための一つの道筋があります。それが「非農地証明」という手続きです。
この記事では、自然災害によって大きな被害を受けてしまったあなたの土地について、この「非農地証明」という手続きがどのようなものなのか、どうすれば利用できるのかを、一つひとつ丁寧に、分かりやすくお伝えしていきます。希望を捨てるのは、まだ早いかもしれません。
非農地証明とは?農地の現状を認めてもらう手続き
「非農地証明」と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんね。でも、ご安心ください。これはとてもシンプルな手続きです。
一言でいえば、「書類の上では『田』や『畑』となっているけれど、見た目はもう農地として使えない状態になってしまった。その見た目と書類のズレを、役所に正式に認めてもらう手続き」のことです。
そもそも、日本の土地には「農地」として定められた場所があり、そこでは農業以外の目的で土地を使うことに厳しいルールが課せられています。しかし、自然災害で土砂に埋まったり、土地がえぐり取られたりして、どう見ても農作業ができない状態になることもあります。
このような場合に非農地証明を受けると、その土地は農地法上「農地」として扱われない状態であることを示せるため、以後の手続きや土地の扱いを整理しやすくなる場合があります。それにより、土地の管理がしやすくなったり、将来的に別の形で活用したりする道が開ける可能性があるのです。現状をありのままに認めてもらうことで、次の一歩を踏み出すための大切な手続き、それが非農地証明なのです。
自然災害による被害で非農地証明が認められる条件
自然災害による被害を受けた土地であれば、どんな場合でも非農地証明が認められるわけではありません。大切なのは、「客観的に見て、農地として元通りにすることが著しく難しい状態である」と判断されることです。
この判断は、最終的にはあなたの土地がある市町村の農業委員会が行います。自然災害という不測の事態によって、農地への復旧が困難であると認められる土地であれば、非農地証明を受けられる可能性があります。
「復旧が困難」と判断される具体的な状態とは
では、「復旧が困難」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。いくつかの例を見てみましょう。ご自身の土地の状況と見比べてみてください。
- 大量の土砂や岩が流れ込んでいる
人力や普通の農業機械ではとても取り除けないほどの土砂、礫(れき)、岩石などが農地全体を覆ってしまっている状態です。例えば、人力や一般的な農業機械では取り除けないほど土砂が厚く堆積しているようなケースが考えられます。 - 土地そのものが大きく変化してしまった
豪雨で土地が広範囲にわたってえぐり取られてしまったり、農地だった場所が川の流れ道に変わってしまったりと、土地の形自体が元に戻せないほど変わってしまった状態です。 - その他、農作業が物理的に不可能な状態
地割れがひどく農業機械が入れない、有害な物質が流れ込み作物の栽培ができない、といったケースも含まれます。

これらの例はあくまで一般的なものです。大切なのは、あなたの土地が「もう一度ここで農業を始めるのは、現実的に考えて非常に難しい」と誰もが納得できる状態にあるかどうか、という点になります。
周辺農地への影響も判断材料になる
農業委員会が判断する際、あなたの土地単体のことだけを見るわけではありません。その土地をそのままにしておくことが、周りの農地にどんな影響を与えるかという点も考慮されることがあります。
例えば、あなたの土地を放置することで、
- 大雨が降るたびに、隣の田んぼへ土砂が流れ込んでしまう危険がある
- 生い茂った雑草が、病気や害虫の発生源となり、周囲の農家に迷惑をかけてしまう
といった状況が考えられる場合です。このような「周りへの悪影響を防ぐ」という観点から、非農地証明の手続きを後押ししてくれるケースもあります。
自分の土地のことだけでなく、地域全体の農業環境という広い視点からも判断が下される、ということを覚えておくとよいでしょう。
非農地証明を願い出るための4つの手順
「自分の土地も対象になるかもしれない」と感じたら、次はいよいよ実際の手続きです。ここでは、願い出のための手順を4つのステップに分けてご説明します。一つずつ、焦らずに進めていきましょう。

手順1:市町村の農業委員会へ事前相談に行く
書類を作り始める前に、まず必ず行ってほしいのが、市町村の農業委員会への「事前相談」です。これは、手続き全体の中で最も大切なステップと言っても過言ではありません。
なぜなら、非農地証明の細かいルールや必要な書類は、自治体によって少しずつ違うことがあるからです。最初に相談しておくことで、「せっかく集めた書類が使えなかった」といった二度手間を防ぐことができます。
相談に行く際は、
- 土地の場所がわかる地図
- 固定資産税の納税通知書(土地の地番などが書かれています)
- 被害状況がわかる写真
などを持っていくと、話がスムーズに進みます。「自然災害でこのような状態になったのですが、非農地証明の対象になりますか」「どのような書類を用意すればよいですか」と、正直に、ありのままを相談してみてください。きっと親身に話を聞いてくれるはずです。
手順2:必要な書類を集めて作成する
事前相談で確認した内容をもとに、必要な書類を集めていきます。一般的に必要となるのは、以下のようなものです。
- 非農地証明願:農業委員会の窓口でもらうか、役所のホームページからダウンロードできます。
- 土地の持ち主や地目などが分かる書類:国の窓口(法務局)で取得します。
- 土地の形や場所が分かる図面:土地の位置や形を示す図面です。これも国の窓口(法務局)で取得できます。
- 現地の状況がわかる写真:被害の状況を客観的に伝える、とても重要な資料です。
特に写真は大切です。被害のひどさが伝わるように、様々な角度から何枚か撮影しましょう。被害の大きさが分かるように、人と一緒に写したり、スコップのような何か大きさが比較できるものを置いたりして撮影するのも良い方法です。より詳しい手順については、非農地証明願に必要な空中写真の入手方法をご覧ください。
手順3:農業委員会に書類を提出する
必要な書類がすべて揃ったら、農業委員会の窓口に提出します。提出する際には、書類に不備がないか、担当の方ともう一度確認すると安心です。受付時間や必要な部数なども、事前相談の際に忘れずに聞いておきましょう。
手順4:現地調査を経て証明書が交付される
書類を提出したら、すぐに証明書がもらえるわけではありません。後日、農業委員会の委員が実際にあなたの土地を訪れ、書類の内容と合っているかを確認する「現地調査」が行われます。
その後、農業委員会の会議で話し合われ、最終的に証明書を交付するかどうかが決まります。手続きにかかる期間は自治体によって異なりますので、これも事前相談の際に、おおよその目安を確認しておくと、待っている間の不安が和らぐでしょう。
もし願いが認められなかったら?3つの対処法
万が一、一生懸命準備したにもかかわらず、願いが認められなかった(却下された)場合、本当にがっかりしてしまいますよね。ですが、そこで諦める必要はありません。道は一つではないのです。ここでは、そのような場合の3つの対処法をお伝えします。

対処法1:理由を確認し、改善して再度願い出る
まず、一番初めに行うべきことは、感情的にならずに「なぜ認められなかったのか」という理由を、農業委員会にきちんと確認することです。
「被害の状況を証明する写真が足りなかった」「この程度の被害なら、復旧は可能だと判断された」など、具体的な理由が分かれば、次の一手を考えることができます。
もし、写真の追加や資料の補足といった改善できる点があれば、それを修正して、もう一度願い出ることができる可能性があります。すぐに諦めず、まずは却下の理由を冷静に聞くことから始めましょう。
対処法2:「農地を別の使い方に変える手続き(農地転用)」という別の手続きを検討する
非農地証明とは少し違う角度からのアプローチとして、「農地を別の使い方に変える手続き(農地転用)」という別の手続きがあります。
非農地証明が「過去から現在まで、もう農地として使えない状態だった」ことを証明してもらうのに対し、農地を別の使い方に変える手続き(農地転用)は「これからは、農地以外の目的(例えば、駐車場や資材置き場など)で使わせてほしい」と、未来の利用目的を許可してもらう手続きです。
もし、被災した土地を今後何か別の目的で使いたいという具体的な計画があるのであれば、こちらの農地転用という手続きのほうが、状況に適している場合もあります。
対処法3:状況が複雑な場合は、一度相談する
却下の理由が複雑でよく分からなかったり、どのような書類を追加すればよいか見当もつかなかったり…。自分一人で対応するのが難しいと感じることもあるでしょう。
そのようなときは、一人で抱え込まずに、状況を整理する手助けを求めてみてください。例えば、私たち行政書士は、このような土地に関する手続きのお手伝いをしています。法的な観点から状況を整理し、どうすれば一番良い方向に進めるかを一緒に考えることができます。
自分だけで解決できないと感じたら、無理をせず、頼れるところに声をかけてみることが大切です。
非農地証明の手続き相談(お問い合わせ)
まとめ:つらい状況を乗り越えるため、まずは一歩から
突然の自然災害に見舞われ、心身ともにお疲れのことと思います。大切な農地が変わり果てた姿を見るのは、本当につらいことでしょう。
この記事では、そのような困難な状況を乗り越えるための一つの方法として、「非農地証明」についてお話ししてきました。
- 認められる条件:農地への復旧が客観的に見て著しく困難な状態であること
- 手続きの第一歩:まずは市町村の農業委員会へ事前相談に行くこと
- 万が一の場合:却下されても、理由を確認して再申請したり、農地転用を検討したりと、道は残されていること
複雑に思える手続きも、一つひとつ順番に進めていけば、状況が整理でき、次の一歩が見えやすくなることがあります。
まずは、市町村の農業委員会に電話を一本入れてみる、ということから始めてみませんか。その小さな一歩が、きっとあなたの明日を照らす光になるはずです。

栃木県佐野市で生まれ育ち、海事代理士・行政書士として活動しています。船舶、農地、墓じまいなどの手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。地域の皆様と共に最善の解決策を考え、誠実に対応いたします。どんな小さなことでも親身に寄り添いますので、どうぞお気軽にご相談ください。
