道路幅員証明願とは?取得方法や必要書類を解説

道路幅員証明願とは?運送業の許可申請で必要になる理由

運送業を始めるための許可申請では、さまざまな書類の提出が求められます。その中でも「道路幅員証明願(どうろふくいんしょうめいねがい)」という聞き慣れない書類に、戸惑いを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

これは一体どのような書類で、なぜ必要なのでしょうか。まずは、その基本的な役割と目的から、分かりやすく解説していきます。

車庫の前の道路の幅を公的に証明する書類です

道路幅員証明願をひと言で説明すると、「道路の幅を証明してもらうために、道路を管理している役所などへ出す申請書」です。申請後に、役所などから「道路幅員証明書」などの証明書が交付されます。

自分でメジャーで測った数値ではなく、道路を管理する公的な機関が「この道路の幅は〇〇メートルです」と証明してくれる、という点が非常に重要です。この公的な証明があるからこそ、運送事業の許可申請における信頼性の高い許可申請の添付書類として認められるのです。

なぜ必要?「車両制限令」というルールが関係しています

では、なぜわざわざ道路の幅を証明する必要があるのでしょうか。その背景には、「車両制限令」という交通安全に関する大切なルールが存在します。

これは、簡単に言うと「大きなトラックやバスのような車両が安全に通行するためには、道路にも一定の広さが必要ですよ」という決まりごとです。もし狭い道路に大きな車が出入りすると、他の車や歩行者にとって危険ですし、事故の原因にもなりかねません。

そのため、運送業で使う車庫を設ける際には、「あなたの会社の車庫の前の道は、使う予定の車両が安全に出入りできるだけの十分な広さがありますか?」という点が厳しくチェックされます。このチェックのために、道路の管理者(市役所など)が交付する「道路幅員証明書(幅員証明)」を、許可申請の添付書類として提出することが求められるのです。つまり、この書類は、事業を行う場所が交通安全のルールをきちんと守っていることを証明するための、いわば「お約束の証」と言えるでしょう。なお、事業用の土地利用では、道路後退が必要になるケースもあります。

より詳しい法令については、以下の国土交通省のページもご参照ください。
参照:車両制限令の施行について

道路幅員証明願が必要になる具体的なケース

道路幅員証明願は、主に人や物を運ぶ事業を始める際の許認可申請で必要となります。具体的にどのような場面で求められるのか、代表的なケースを見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせて、必要性を確認してみてください。

さまざまな許認可申請の添付書類として使用されます
道路幅員証明願は、運送業の許可申請に限らず、様々な許認可手続きの場面で登場します。例えば、特定の建物を建てる際の建築確認申請や、開発行為の許可申請などでも、接道義務(建物が一定の幅の道路に接していなければならないというルール)を満たしていることを証明するために、添付を求められることがあります。このように、行政手続きにおいて「道路の幅」が重要な要件となる場合に、その客観的な証明資料として幅広く活用されているのです。

一般貨物自動車運送事業(トラック運送業)の許可申請

緑ナンバーのトラックを使って運送業を始める場合、その許可申請において道路幅員証明書(幅員証明)の提出を求められることが多いです。事業に使うトラックを停めておく車庫を確保する必要がありますが、その車庫の前面道路が、使用するトラックの大きさに対して十分な幅員を持っていることを証明しなければなりません。この証明のために、道路幅員証明願が許可申請の添付書類として求められます。

トラック運送業の許可申請に必要な道路幅員証明願のイメージ。車庫の前に立つ事業主とトラック。

一般旅客自動車運送事業(タクシー・バス事業)の許可申請

トラックだけでなく、タクシーやバスといった人を運ぶ事業の許可申請においても、道路幅員証明願は必要です。事業用の車両を保管する車庫や営業所の安全性を確保するという目的は、トラック運送業と全く同じです。車両の種類は異なりますが、安全な運行のためには、その出入り口となる道路の幅が基準を満たしていることが不可欠となります。

営業所や車庫の場所を変更する場合

注意したいのは、道路幅員証明願が必要になるのは新規開業の時だけではない、という点です。すでに事業を運営している場合でも、営業所や車庫の場所を移転する際には、新しい場所で改めて道路幅員証明願を取得し、提出を求められるケースがほとんどです。場所が変われば道路の状況も変わるため、移転先の安全性を証明し直す必要がある、と考えておきましょう。

道路幅員証明願の取得方法|4つのステップで完全解説

ここからは、実際に道路幅員証明願を取得するための具体的な手順を、4つのステップに分けて解説します。どこへ行き、何を準備し、どのように申請すればよいのか、一連の流れを把握することで、安心して手続きを進めることができます。

道路幅員証明願を取得するための4つのステップを図解したインフォグラフィック。窓口確認から証明書受け取りまでの流れ。

ステップ1:申請窓口の確認

まず最初に、「どこに申請すればよいのか」を確認します。申請窓口は、証明してほしい道路を管理している行政機関です。

  • 市道・町道・村道の場合:その道路がある市役所、区役所、町役場、村役場の「道路管理担当課」(例:道路管理課、土木管理課、建設課など)
  • 県道の場合:その地域を管轄する県の土木事務所や県庁の道路管理担当課
  • 国道の場合:国の出先機関である国道事務所

多くの場合、車庫を設けようとする場所の道路は市町村道であることが多いですが、県道や国道に面している可能性もあります。どの機関が管理している道路か分からない場合は、まず市役所や町役場の担当課に電話で問い合わせてみるのが確実です。「運送業の許可申請で、この場所の道路幅員証明が必要なのですが」と伝えれば、正しい窓口を案内してくれるでしょう。こうした手続きでは、道路占用許可申請など、他の手続きが必要になるケースもあります。

ステップ2:必要書類の準備

申請窓口が分かったら、次は必要書類を準備します。自治体によって若干の違いはありますが、一般的に以下の書類が求められます。

  • 道路幅員証明願(申請書):役所の窓口で受け取るか、自治体のホームページからダウンロードできる場合が多いです。
  • 案内図(位置図):車庫の場所がわかる地図です。住宅地図などをコピーし、申請地をマーカーなどで分かりやすく印をつけます。
  • 公図の写し:法務局で取得できる、土地の区画や地番を示した図面です。申請地の位置を正確に示すために必要となります。
  • 計画車両の諸元がわかる書類:事業で使用する予定の車両の大きさ(長さ、幅、高さ)がわかる書類です。車検証のコピーなどが該当します。

これらの必要書類は、事前に窓口へ電話で確認しておくと、二度手間を防ぐことができスムーズです。

ステップ3:申請書の提出

書類の準備が整ったら、窓口へ提出します。この際、いくつか注意点があります。

  • 提出部数:多くの自治体で、正本と副本として「2部」の提出を求められます。コピーを取っておきましょう。
  • 手数料:証明書1通あたり200円から300円程度の手数料がかかります。

手数料の支払方法は、現金の場合もあれば、自治体指定の「収入証紙」を購入して貼り付ける場合もあります。これも事前に確認しておくとよいでしょう。自治体によっては郵送での申請を受け付けている場合もありますので、遠方の場合などは確認してみることをおすすめします。

ステップ4:証明書の受け取り

申請書を提出すると、役所の担当者が書類の内容を確認し、場合によっては現地調査を行って道路の幅を実測します。審査が完了し、証明書の準備ができると、役所から電話などで連絡が入るのが一般的です。

発行までにかかる期間は、自治体や申請の混雑状況にもよりますが、数日から1〜2週間程度を見ておくとよいでしょう。連絡を受けたら、身分証明書や印鑑などを持参して窓口へ受け取りに行きます。郵送で申請した場合は、同封した返信用封筒で証明書が送られてきます。

道路幅員証明願に関するよくある質問(Q&A)

最後に、道路幅員証明願の手続きに関して、多くの方が疑問に思われる点をQ&A形式でまとめました。

Q. 申請してから証明書が発行されるまで、どのくらいかかりますか?

A. 自治体の規模や混雑状況、現地確認の有無などによって異なりますが、一般的には1週間から2週間程度が目安となります。ただし、年度末や大型連休前などは混み合う傾向があるため、さらに時間がかかる可能性もあります。運送業の許可申請には全体のスケジュールがありますので、それに間に合うよう、できるだけ早めに申請手続きを始めることが重要です。

Q. 申請は誰でもできますか?委任状は必要ですか?

A. 自治体によって取扱いは異なりますが、土地の所有者でなくても申請できるとしている自治体もあります。委任状が必要かどうかも自治体の運用によって異なるため、事前に申請窓口へ確認してください。ただし、行政書士など法律の知識を持つ人が代理で申請する場合には、職務上の身分証明書とは別に、委任状の提出を求められることもあります。念のため、事前に申請窓口へ確認しておくとより確実です。

Q. 道路の幅は自分で測ってはいけないのですか?

A. これは非常に重要なポイントです。結論から言うと、申請先によっては、自分で測った数値だけでは足りず、道路の管理者が交付する幅員証明書の提出を求められることがあります。なぜなら、許可を出す行政機関(運輸支局など)が求めているのは、「客観的で公的な証明」だからです。道路を管理する立場にある市役所などが、その責任において「この道路の幅は〇〇メートルです」と公式に証明することに意味があります。自己申告の数値では、その客観性や信頼性を担保できないため、必ず公的機関が発行した証明書が必要となるのです。

役所の窓口で道路幅員証明願の申請手続きを行う人のイラスト。

まとめ:計画的な準備でスムーズな許可申請を

この記事では、運送事業の許可申請などで必要となる「道路幅員証明願」について、その意味から具体的な取得方法までを解説しました。

道路幅員証明願は、あなたの事業の拠点となる車庫が、交通安全のルールを守った適切な場所にあることを証明するための、非常に重要な書類です。取得には市役所などでの手続きが必要で、申請から発行までにはある程度の時間がかかります。

運送事業の許可申請は、他にも多くの要件をクリアし、たくさんの書類を準備する必要があります。全体のスケジュールを滞りなく進めるためにも、道路幅員証明願のような許可申請の添付書類の準備は、計画的に、そして早めに行動を起こすことが成功への鍵となります。

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