農地転用・開発許可に添える平面図と立面図|建物の高さの注意点

農地転用や開発許可に出す建物の平面図と立面図とは

畑や田んぼを宅地に変える農地転用の手続きや、土地を整えて家を建てるための開発許可の手続きでは、役所へたくさんの書類を提出します。土地の場所や今の様子を伝えるための区域図や現況図とあわせて、建てる予定の建物、あるいはすでに建っている建物の図面も一緒に提出しなければなりません。

このときによく求められるのが、「平面図(へいめんず)」と「立面図(りつめんず)」という2種類の図面です。名前がよく似ているため、どちらがどんな図面なのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

簡単に言うと、平面図は建物を「真上から見た図」で、立面図は建物を「真横から見た図」です。農地転用や開発許可の審査では、ただ「ここに家を建てます」と伝えるだけでは足りません。役所は、その土地の広さに対して無理のない大きさの建物かどうか、また周りの畑や隣の家の風通し、日当たりに悪い影響が出ないかを細かく確認しています。そのため、建物の広さが分かる上からの図面と、建物の高さや形が分かる横からの図面の両方が必要になるのです。

平面図(真上から見て延べ床面積と建築面積を示す図)と立面図(真横から見て建物の高さを示す図)の違いを比較した図解

平面図は建物を真上から見て部屋の並びや広さを示す図面

平面図とは、建物の屋根をパカッと取り外して、空の真上から見下ろした姿を紙に描いた図面のことです。家を探すときによく目にする「間取り図」を思い浮かべていただくと分かりやすいかもしれません。

この図面には、玄関やリビング、寝室、お風呂、廊下などがどこにあるかという部屋の並び方が描かれています。さらに、建物全体の横幅や奥行きが何メートルあるのか、それぞれの階の広さがどれくらいあるのかを役所に伝える大切な役割を持っています。

もし建物が平屋(1階建て)であれば平面図は1枚で済みますが、2階建ての家の場合は、1階部分の図面と2階部分の図面の両方をそろえて提出する必要があります。

立面図は建物を真横から見て外観や建物の高さを示す図面

平面図が上から見た図であるのに対して、立面図は建物の外に立って、建物を真横から見た姿を描いた図面です。東・西・南・北の4つの方向から見た姿をそれぞれ描くのが一般的で、家の外側の見た目を表しています。

立面図を見ると、屋根がどんな形をしているか、窓や玄関のドアがどの位置にあるかといった外観がひと目で分かります。そして、農地転用や開発許可の手続きにおいて立面図がとくに重視される理由は、基準となる地面から屋根の一番高いところまでの「建物の高さ」を役所に伝える役割があるからです。

多くの市町村の手引きでも、立面図には「どの方角から見た図面なのか」という向きとあわせて、「建物の高さが何メートルあるか」をはっきり書くことが求められています。背が高すぎる建物が建つと、隣の畑に影を落として作物の育ちを悪くしてしまう恐れがあるため、横から見た図面で高さをしっかり確認する仕組みになっています。

平面図に書く2つの面積と立面図に書く建物の高さ

手元に建物の図面があるからといって、そのまま役所に提出できるとは限りません。役所の審査を通過するためには、図面の中に決められた数字が正しく書かれているかどうかが重要なポイントになります。

建物の平面図には延べ床面積と建築面積、立面図には高さの記載が必要になります。古い建物の立面図には高さの記載が無いものが多いため注意が必要です。記載が無い場合は、計測を行い高さを記載する必要があります。

このように、図面の種類によって書いておかなければならない数字が決まっています。それぞれの数字がどんな意味を持っているのか、順番に見ていきましょう。

図面の種類見る向き必ず書いておく数字
平面図真上から見た図延べ床面積・建築面積
立面図真横から見た図建物の高さ(基準となる地面から屋根の一番上まで)
平面図と立面図に書くべき数字のまとめ

平面図には「延べ床面積」と「建築面積」の2つを書く

平面図には、「延べ床面積(のべゆかめんせき)」と「建築面積(けんちくめんせき)」という2つの広さを書く必要があります。言葉は少し難しそうに見えますが、中身はとてもシンプルです。

  • 延べ床面積:建物の中にあるすべての階の「床の広さ」を足し合わせた合計の広さです。たとえば、1階の床が60平方メートル、2階の床が40平方メートルの2階建ての家なら、2つを足した100平方メートルが延べ床面積になります。
  • 建築面積:建物の外壁や柱の中心を基準にして、建物全体を真上から見たときの広さのことです。屋根の影全体をそのまま測るわけではありませんが、真上から見下ろしたときに建物が占める範囲をイメージすると分かりやすいでしょう。なお、1階と2階の重なり方がずれている場合や、屋根・ひさしが大きく張り出している場合には計算の仕方が変わるため、単純に広いほうの階の床面積と同じになるとは限りません。

農地転用や開発許可では、土地の広さに対してどれくらいの大きさの建物を建てるのかという割合(建ぺい率を満たす面積設定など)が厳しくチェックされます。そのため、申請書に書く面積の数字と、平面図に書いてある面積や計算式が、1平方メートルのズレもなくぴったり同じになっているかを確認しておくことが大切です。

立面図には基準となる地面から屋根の一番上までの「建物の高さ」を書く

立面図には、必ず「建物の高さ」の数字を書かなければなりません。ここで言う建物の高さとは、建物が周囲の地面と接している位置の平均の高さ(基準となる地面)から、屋根の一番高いところ(てっぺん)までの縦の長さのことです。

図面を見ると、地面のラインを表す目印として「GL」というアルファベットが書かれていることがよくあります。これはグラウンドライン(設計上の地面の線)という意味です。この地面の線から屋根の一番上までの長さが書かれているかにくわえて、図面上の「GL」が申請で求められる高さの基準(周囲の地面の平均の高さ)と一致しているかもあわせて確認しておく必要があります。

ときどき、1階の床から天井までの高さや、地面から屋根の端っこ(軒先)までの高さしか書いていない図面を見かけますが、それだけでは不十分です。周りの土地への日当たりや景色の影響を確認するためには、建物全体のてっぺんまでの高さが必要になります。

なお、面積や建物の高さの詳しい数え方は国のルールで細かく決められています。国のルールにおける条文を確認したい方は、次の法令ページも参考にしてみてください。

参考:建築基準法施行令(面積・高さ等の算定方法)

古い建物の立面図に「建物の高さ」が書いていない理由

昔から建っている家を建て替えるときや、昔に許可を取らないまま農地に建ててしまった建物を後からきちんと手続きする(追認のための農地転用許可申請など)場面では、押し入れや引き出しの奥から何十年も前の古い図面を探し出してくることがあります。

ところが、せっかく見つけた古い立面図を広げてみても、どこにも「建物の高さ」の数字が書かれていないケースが本当にたくさんあります。これを見て「うちの図面だけがおかしいのかな」と不安になるかもしれませんが、決して珍しいことではありません。

昭和の時代や平成の初めごろに大工さんが手書きで作った図面などでは、部屋の広さや柱の間隔、横幅などは詳しく書かれていても、地面から屋根のてっぺんまでの「建物の高さ」の数字は省略されていることがよくありました。当時はその図面で問題なく家が建てられたため、高さの数字が書かれていないまま残っているのです。

しかし、現在の農地転用許可や開発行為許可の審査では、図面に建物の高さをはっきりと書くルールになっています。そのため、高さが書いていない古い図面をそのままコピーして役所に提出してしまうと、窓口の担当者から「建物の高さが分からないので、このままでは受け付けられません」と差し戻されてしまいます。手続きが途中で止まってしまわないよう、提出する前に必ず高さの数字があるかを確認しておく必要があります。

古い建物の図面に建物の高さが書かれておらず悩んでいる白靴下を履いた女性のイラスト

立面図に建物の高さがないときの3つの解決ステップ

もし手元の立面図に建物の高さが書かれていなかったとしても、申請を諦める必要はありません。順番に確認や作業を進めていけば、ちゃんと役所に出せる状態に整えることができます。

ここからは、立面図に建物の高さが書いていないときに取るべき行動を、3つのステップに分けて分かりやすくお伝えします。

立面図に建物の高さがないときの3つの解決ステップ(書類確認・計測と追記・行政書士への相談)のフロー図

ステップ1:他の書類を見るか図面を作った人に聞く

立面図に高さが書いていないことに気づいても、すぐにメジャーを持って外へ測りに行くのは少し待ってください。まずは、家の中に残っている他の書類を探してみることから始めましょう。

家を建てたときに役所のチェックを受けた「建築確認(けんちくかくにん)」という書類の控えや、建物を縦にスパッと切った中身を描いた図面(断面図や矩計図と呼ばれるもの)が、同じ封筒やファイルに保管されていないでしょうか。立面図には建物の高さが書かれていなくても、こうした別の書類や図面の中に、基準となる地面から屋根の上までの高さが数字でしっかり記録されていることがあります。

また、その建物を建てた工務店やハウスメーカー、設計した事務所が今も営業している場合は、電話をして聞いてみるのもよい方法です。当時の記録が残っていれば、正確な建物の高さを教えてもらえる可能性があります。

ステップ2:建物の高さを測って図面に書き足す

家の中の書類をすべて探しても建物の高さが分からず、建てた会社にも聞けない場合は、実際の建物の高さを測って図面に数字を記載する必要があります。

ただし、建物の高さを測るときにはいくつか気をつけたい点があります。まず、2階建ての家の屋根のてっぺんなどはとても高い場所にあるため、ご自身でハシゴに登ってメジャーで測ろうとすると転落などの危険があり大変危ないです。レーザーを使って離れた場所から長さを測る専用の道具などを使う必要があります。

また、建物の高さは適当な地面の場所から測ればよいわけではなく、建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さを基準にするルールがあります。とくに建物の周りの地面が平らではなく斜めに傾いている場所では、基準となる地面の高さの決め方に注意が必要です。さらに、古い図面に手書きで数字を書き足せばよいのか、それとも新しく図面を描き直す必要があるのかは、提出する市町村の窓口によって扱いが異なります。そのため、実際に測ったり書き込んだりする前に、一度役所の窓口へ相談してルールを確かめておくことが大切です。

ステップ3:計測や図面の準備が難しいときは行政書士に相談する

「自分で高い屋根を測るのは難しい」「古い図面しかなくて、面積の計算や役所とのやり取りが不安」というときは、無理をせず農地転用や開発許可の手続きを扱っている行政書士に相談してみてください。

私(海事代理士・行政書士 中村光男事務所)は、開業する前に土地家屋調査士・行政書士事務所で長く実務を積んだ経験があり、土地や建物の図面が関わる農地転用・開発許可の手続きに日々取り組んでおります。必要に応じて、建物の計測や図面作成を行う建築士や土地家屋調査士とも連携しながら、スムーズに申請を進められる体制を整えています。

当事務所では、まずご依頼者様のお話を途中でさえぎることなく、最後までじっくりお伺いすることを何より大切にしております。そのうえで、役所の担当者との事前の打ち合わせで「図面のここを直してほしい」「この部分を直してからでないと申請は受け付けられない」と言われた場合には、その理由やリスクも包み隠さずきちんとお話しし、ご依頼者様と一緒に一番よい解決方法を考えてまいります。

農地転用の手続き全体の流れやサポート内容については、【農地法関連(農地転用等)業務】で体系的に解説しています。

古い図面に建物の高さが書いていない場合や、そもそも図面が見当たらない場合でも、どうすれば手続きを進められるか親身に寄り添って対応いたします。どんな小さな疑問でも構いませんので、まずは一度お気軽にお問い合わせページよりご相談ください。

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