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河川法第24条許可申請についての概要
「自宅への進入路として、川沿いの土地を使いたい」「事業で、一時的に川の近くに資材を置きたい」
暮らしや仕事の中で、そんな場面に直面することがあるかもしれません。
川の近くにある土地は、私たちの生活に欠かせない大切な公共の財産です。そのため、特定の人が利用する際には、きちんとルールを守る必要があります。そのルールの一つが、河川法という法律で定められた「河川占用(かせんせんよう)」の許可です。
この記事では、法律の知識がない方にも分かりやすいように、以下の点について丁寧にご説明します。
- そもそも「河川占用」とは何か、なぜ許可が必要なのか
- 許可をもらうための具体的な条件
- 申請手続きの具体的な流れと、つまずかないための注意点
手続きは複雑に感じられることがありますが、基本的な流れを把握しておくことで準備を進めやすくなります。この記事では、最初に確認すべき事項や手続きの流れを整理して説明します。河川占用という制度の全体像については、公共物使用許可申請と河川法の関係で体系的に解説しています。
そもそも河川占用とは?なぜ許可が必要なの?
「河川占用」という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんね。これは、川やその周辺の堤防、河川敷といった公共の土地(これを「河川区域」といいます)を、特定の個人や会社が独占して利用することを指します。
では、なぜ利用するのにわざわざ許可を取らなければならないのでしょうか。その理由は、川が持つ大切な役割を守るためです。
- 治水(ちすい):大雨が降ったときに洪水を防ぎ、私たちの命や財産を守る役割。
- 利水(りすい):農業用水や水道水として、私たちの生活や産業を支える役割。
- 環境保全:魚や鳥など、多くの生き物のすみかとなり、豊かな自然環境を保つ役割。
もし誰もが自由に川の土地を使えるとしたら、どうなるでしょうか。建物が洪水の流れをせき止めたり、水が汚染されたりするかもしれません。そうした事態を防ぎ、みんなが安全に、そして安心して川の恵みを受けられるように、河川占用という許可制度が設けられているのです。

河川法第24条で定められている「土地の占用」
今回ご説明する河川法第24条は、この河川占用の中でも特に「土地そのものを利用する」場合について定めています。ポイントは、橋や建物といった「工作物」を建てずに、土地のスペースを使うことです。
例えば、以下のようなケースが当てはまります。
- 自宅や畑への通路として、河川敷を通行する
- 工事期間中、一時的に資材を置く場所として利用する
- 地域のお祭りやイベントで、会場の一部として利用する
これらの行為は、河川区域内の土地でなければ許可の対象とはなりません。
参照:河川法
よくある疑問:第26条(工作物の設置)との違い
河川法の話になると、よく第24条と第26条の違いが話題になります。この二つはとても似ていますが、目的がはっきりと分かれています。
一言でいうと、以下のようになります。
- 第24条:土地のスペースを借りる許可
- 第26条:土地にモノ(工作物)を建てたり、置いたりする許可
例えば、単に「通路として河川敷を通る」だけなら第24条の許可が必要です。しかし、その通路に「橋を架ける」となると、橋という工作物を設置することになるため、第26条の許可も合わせて必要になるのです。水道管やガス管を埋める場合も、管が工作物にあたるため第26条の対象となります。
このように、ご自身の計画がどちらに当てはまるのか、あるいは両方が必要なのかを正しく理解することが、手続きの第一歩となります。

河川占用の許可を得るための3つの主要な条件
「自分の計画は、許可してもらえるのだろうか…」とご心配かもしれませんね。河川占用の許可には、主に3つの大切な判断基準があります。ご自身の計画がこれらに当てはまるか、一緒に見ていきましょう。
- 公共性・必要性
その計画は、社会全体にとって必要性の高いものですか?ということです。「なぜ、どうしてもその場所でなければならないのか」を、きちんと説明できることが大切です。個人的な都合だけでなく、地域社会への貢献度なども考慮されます。 - 安全性
計画が、川の最も重要な役割である「治水(洪水を防ぐこと)」の邪魔にならないか、という点です。例えば、大雨が降ったときに水の流れを妨げないか、堤防を弱くする恐れはないかなど、安全面が厳しく審査されます。 - 継続性・安定性
その計画は、一時的な思いつきではなく、責任を持って長く続けられるものですか?ということです。土地を利用する期間中、きちんと管理や維持ができるか、そのための計画や体制が整っているかが問われます。
これらの条件は、川という公共の財産を、将来にわたって安全に保っていくために設けられています。
【具体例】こんなケースで許可が認められます
では、実際にどのようなケースで許可が認められやすいのでしょうか。いくつか具体例を挙げてみます。
- 生活に不可欠な進入路:自宅や農地に入るための道が他になく、どうしても河川区域を通らなければならない場合。これは「必要性」が非常に高いため、許可されやすい代表的な例です。
- 公共インフラに関する利用:地域住民のために、水道管やガス管、電線などを設置・埋設する場合は、公共性が高いと判断されることがあります。ただし、工作物の設置を伴うため、土地の占用に関する第24条の許可に加えて、第26条の許可が必要になる場合があります。
- 地域の公園や運動場:子どもたちの遊び場や、住民の憩いの場として公園を整備する場合。これも地域の利益につながるため、許可の対象となり得ます。
個人での利用が認められにくい理由
一方で、個人的な目的での利用は、原則として認められにくいのが実情です。例えば、「自分の家庭菜園を作りたい」「自家用車の駐車場として使いたい」といったケースです。
なぜなら、川は「みんなの財産」だからです。特定の個人の利益のために、公共の土地を独占的に使うことは、公平性の観点から難しいとされています。もし、誰もが自分の畑や駐車場を作り始めたら、川本来の機能や美しい景観が損なわれてしまうかもしれません。
ただし、先ほど例に挙げた「生活に不可欠な進入路」のように、公共性が高いと判断されれば、個人の方の申請でも許可される可能性は十分にあります。大切なのは、その利用が社会的に見て必要かどうか、という視点です。

河川法第24条の許可申請手続き|4つのステップと注意点
ここからは、実際に許可を得るための手続きの流れを、4つのステップに分けてご説明します。この順番で確認することで、申請準備の漏れを減らしやすくなります。
ステップ1:まずは河川管理者との「事前協議」から
申請手続きの中で、最も重要といっても過言ではないのが、この「事前協議」です。申請書をいきなり提出するのではなく、まずは計画の段階で、川を管理している役所の担当窓口へ相談に行くことから始めましょう。
河川の管理者は、川の規模によって国(国土交通省の出先機関)や都道府県、市町村が担当しています。多くの場合、地域の「土木事務所」などが窓口になります。
事前協議では、以下のようなことを行います。
- 計画の概要を説明し、そもそも許可の可能性があるかを確認する
- 申請に必要な書類の種類や書き方について、具体的なアドバイスをもらう
- 手続きを進める上での注意点などを教えてもらう
計画の地図や簡単な図面など、内容が分かるものを持っていくと、話がスムーズに進みます。この最初の相談により、その後の手続きで確認すべき事項を整理しやすくなります。
ステップ2:申請に必要な主な書類と作成のポイント
事前協議で方向性が見えたら、次は申請書類の準備に取り掛かります。必要な書類はケースバイケースですが、一般的には以下のようなものが求められます。
- 許可申請書:定められた様式に、申請者の情報や占用の目的などを記入します。
- 事業計画書:どのような目的で、どのように土地を利用するのかを詳しく説明する書類です。
- 各種図面(位置図、平面図、求積図など):どの場所を、どれくらいの広さで利用するのかを正確に示す図面です。
- 現況写真:申請する場所の現在の様子が分かる写真です。
特に図面の作成は、正確性が求められるため、専門的な知識が必要になることもあります。内容によっては、土地家屋調査士や設計事務所など、他の事業者の協力が必要になる場合もあるでしょう。書類に不備があると、審査が長引く原因になりますので、事前協議で確認した内容に基づき、丁寧な作成を心がけましょう。
ステップ3・4:申請書の提出から許可までの流れ
必要な書類がすべて揃ったら、いよいよ申請です。提出先は、事前協議を行った窓口と同じであることがほとんどです。
申請書が受理されると、審査が始まります。審査では、提出された書類をもとに、計画が先ほどご説明した「3つの条件(公共性・安全性・継続性)」を満たしているかなどがチェックされます。
審査の期間は、申請内容や自治体によって異なりますが、数週間から数ヶ月程度かかるのが一般的です。この間に、役所から内容について質問されたり、追加の資料を求められたりすること(「補正」といいます)もあります。
無事に審査を通過すると、「許可書」が交付され、計画していた土地の利用を開始することができます。また、許可後は、利用する土地の面積などに応じて、決められた「占用料」を納める必要がある場合がほとんどです。
まとめ|河川占用は事前の相談が重要
今回は、河川法第24条に基づく河川占用について、その基本的な考え方から許可の条件、そして申請手続きの流れまでを解説しました。
最後に、大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 河川占用とは、川という公共の財産を、ルールを守って利用するための手続きであること。
- 許可を得るには、「公共性・必要性」「安全性」「継続性」の3つの条件を満たす必要があること。
- 手続きをスムーズに進めるためには、何よりもまず、川の管理者との「事前協議」が重要であること。
複雑に思える手続きも、一つひとつのステップを丁寧に進めていけば、決して乗り越えられないものではありません。もし、手続きに不安を感じたり、何から手をつけていいか分からなくなったりしたときは、一人で抱え込まずに、まずは管轄の役所の窓口に相談することから始めてみてください。計画を進めるために必要な手続きや確認事項を整理しやすくなります。

栃木県佐野市で生まれ育ち、海事代理士・行政書士として活動しています。船舶、農地、墓じまいなどの手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。地域の皆様と共に最善の解決策を考え、誠実に対応いたします。どんな小さなことでも親身に寄り添いますので、どうぞお気軽にご相談ください。
