Archive for the ‘農地に関する手続き’ Category

令和4(2022)年度栃木県新規就農者に関する調査結果が公表されました

2022-08-17

栃木県内において就農時(令和4年4月末日現在)の年齢が18~64歳の者で、令和3年5月1日から令和4年4月30日までに就農又は就業した者のデータが公表されました。データは下記URLより確認をすることができます。

https://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/houdou/2022shinkisyuunoutyousa.html

新規就農者数は370人であり、平成以降過去最多の就農者数となりました。新規就農者のうち自営就農者は226人、雇用就農者は144人となります。

世代別で見ますと青年(18歳~44歳)の就農者が291人、中高年(45歳~64歳)の就農者が79人となっております。定年帰農者支援を行っているところも増えつつありますので、今後中高年層の新規就農者数がますます増えていくのではと考えられます。

自営就農者の経営志向作物データを確認しますと、いちごが1番高い数値となっております。栃木県のいちごは全国的に有名ですので、いちご栽培に携わりたいという方が多いのが分かります。

栃木県においていちご農家になるための就農講座が開講されておりますので、受講後いちご農家になることも可能です。栃木のいちごの知名度を守るため他の農作物の講座よりも長めの課程を受講する必要があり、農地を取得するための農地法の許可要件も厳しめとなっております。

雇用就農者は米・野菜栽培ではなく酪農・養豚など畜産の分野にて多数の方が就農されている傾向がございます。栃木県酪農協同組合が新規就農者向けの研修を行っていることもあり、研修後酪農家へ雇用されていることが分かります。

私は米、野菜はもちろん、畜産農家への新規就農に関する相談も受けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

太陽光パネルを設置する農地が第1種農地の場合の注意点について

2022-07-12

太陽光パネル設置を設置したい農地が第1種農地の場合、原則として農地転用許可申請をすることはできません。例外的に『隣接する土地と一体として設置する場合であって、当該農地を供することが必要と認められる場合(全体面積のうち第1種農地の割合が3分の1以内。)』には農地転用許可が認められるケースもございます。

例えば敷地全体面積が900㎡の場合、3分の1以内である300㎡まででしたら第1種農地であっても農地転用許可がなされる可能性がございます。

転用する農地と一体で利用する土地が元々宅地や雑種地、山林などであれば特段問題は無いのですが、元々が農地であり、農地転用許可申請を経て宅地や雑種地などに地目変更がなされた土地である場合には詳細な調査が必要になります。

隣接する土地が所有権移転のためではなく賃借権設定のための許可を受けた場合には、許可申請書に記載した賃貸借契約期間が経過するまでは目的外転用にあたるため、たとえ登記簿上の地目が変更されていたとしても隣接する土地が適法要件を備えていない土地とみなされてしまい、農地転用が認められないと判断される可能性が高いです。

また会社が保有する資材を置く目的で農地転用をしたにもかかわらず、実際には会社の従業員の通勤用自動車の駐車場として利用されている場合など目的外利用されている土地である場合には事業計画変更の手続きを行う必要があり、変更後でないと許可申請を行えなくなってしまうこともございます。

第1種農地における太陽光パネル設置基準の一つである面積要件は難なく判断することは可能ですが、隣接土地の状況につきましては農業委員会事務局にて詳細な調査が必要になります。弊事務所は太陽光パネル設置のための農地転用許可の実績が多数ございますので、細々としたところまで調査を行い対応をしております。

農地転用許可後完了報告は忘れずに提出しましょう

2022-06-28

農地転用許可後、許可の日から3ヶ月経過したとき及びその1年後ごとに工事進捗状況報告書を、工事完了後には工事完了報告書を提出する必要がございます。

許可を取得することだけに目が行きがちですが、許可後の報告書提出も非常に重要になります。特に完了報告書の提出は重要です。

工事完了報告書の提出は住宅建築の場合は住宅が完成した後、資材置場・駐車場として利用する場合は造成後実際に資材や車を置いた状態にて写真撮影を行い、土地利用計画図どおりの使用がなされていることを証明する必要がございます。

完了報告書を提出することにより農地台帳から外れることになります。許可を受けただけでは農地台帳から外れないため、たとえ工事が完了していたとしてもその土地は農地とみなされることにより農地区分の選定に影響を及ぼすことになります。

隣接農地は工事完了しているが工事完了報告書の提出が無いため、申請地を起点に10ha以上農地が連なっていることを理由に第1種農地に該当すると判断されたこともありました。これから転用を考えている隣接農地所有者に迷惑を掛けてしまうこともございます。

工事完了報告書を忘れずに提出しましょうと許可証交付時に説明を受けるのですが、ついうっかり提出を忘れるケースが多いなと感じております。工事完了報告書の提出は義務付けられておりますので、工事完了後忘れずに提出しましょう。

農地転用許可申請・届出につき、旧書式でも受け付けていただけます

2022-06-21

農地法施行規則が改正されたことにより、令和4年4月1日より農地転用許可申請・農地転用届出の様式が新しくなりましたが、市区町村によっては新しい様式を作成段階であり旧様式の申請書・届出書のみダウンロード可能なところもございます。

旧様式には申請人・届出人の職業欄を記載する欄、農地法第5条届出書には『開発許可を要しない転用行為にあっては、都市計画法第29条の該当号』を記載する欄がありますが、これらの欄に記入せず空欄のままでも申請・届出を受け付けていただくことができます。

私も先日届出書を提出する農業委員会事務局に問い合わせたところ、記載不要となった項目は空欄でも受け付けますと回答をいただきました。その旨依頼者様にお伝えし、職業欄などを空欄のまま届出書を提出し、無事受理されました。

新様式の周知が行われるまでは旧様式でも受け付けていただける市区町村は多いと思われます。積極的に新様式の切り替えを市区町村では、次回以降は新様式にて提出をする様指導を受けることも考えられます。

弊事務所では依頼を受けた農地が存在する市区町村役場のホームページを随時確認しながら、現時点でダウンロードできる最新の様式にて申請・届出を行うよう心掛けております。

農地転用許可・届出の添付書類・書式に変更がありました

2022-06-14

農地法施行規則が改正されたことにより、令和4年4月1日より農地転用許可申請・農地転用届出の添付書類と記載事項に一部変更がありました。記載事項の変更は簡素化が目的となります。変更となった箇所は下記のとおりとなります。

①市街化調整区域・その他の区域などの農地法第4条・第5条許可申請で法人(株式会社など)が譲受人となる場合、法人現在事項全部証明書または法人の定款の写しのいずれか一方のみの添付をすれば大丈夫になりました。

今までは法人現在事項全部証明書と法人の定款の写しの両方添付が必要でしたが、改正により片方のみの添付で申請受付可能となりました。

法人現在事項全部証明書は写しの添付は認められず、原則発行後3ヶ月以内の証明書の添付が求められます。

②市街化調整区域・その他の区域などの農地法第4条・第5条許可申請で、申請書の「利用状況及び普通収穫高」の記載が不要になりました。

利用状況欄には田の場合一毛作、二毛作など、畑の場合は普通畑、果樹園などを、普通収穫高欄には田の場合米○○kgなど、畑の場合は麦○○kg、蔬菜○○kgなど、申請地が不耕作の状況の場合は利用状況欄に不耕作、普通収穫高には『-』(ハイフン)を記載していました。

改正後は利用状況及び普通収穫高の欄が削除され、耕作者氏名と耕作者住所のみ記載すれば大丈夫になりました。

③農地法第4条・第5条許可申請書・届出書とも「職業欄」の記載が不要になりました。

今までは第4条許可申請者・届出者、第5条許可申請者(譲渡人・譲受人)の職業を記載しておりましたが、改正により記載不要となりました。法人申請の場合は職業欄に主たる業務を記載する必要があり多角経営されている法人の職業欄にどの様に記載すればよいのか悩ましかったですが、今後は悩まずに済むようになりました。

第4条・5条許可・届出は職業欄の記載は無くなりましたが、農地を農地のまま購入する際に必要になる3条許可申請の場合は職業を記載する項目が削除されておりませんので、今までどおり職業を記載する必要があります。

3条許可にて農地を購入できるものは原則農業従事者のみとなりますので、農業を行っているか否かの確認が必要となるため職業の記載が必要となります。

④市街化区域の農地法第5条届出において、開発行為許可(都市計画法第29条第1項の許可)を受けたことを証する書面の添付が不要になりました。

これは開発行為許可証の添付が不要になったまでで、今までどおり開発行為許可を受けた後でなければ届出を行うことはできないものと考えられます。詳しくは届出を行う市区町村の農業委員会事務局に確認をする必要がございます。

佐野市で電気柵設置補助申請の受付が開始されます

2022-05-02

佐野市有害鳥獣被害対策協議会では中山間地域等の農業を支援の一つとして、イノシシ・シカからの被害から農作物を守るため電気柵の設置を推進しています。佐野市内の農地を耕作している個人・法人・営農集団で5畝(5a・500㎡)以上の農地に設置する方を対象に補助金の交付を行っております。

令和4年5月9日(月)より補助申請の受付が開始されます。詳細は下記URLより確認をすることができます。

https://www.city.sano.lg.jp/kurashi_gyosei/sangyo_shigoto/chojugai/17055.html

申請書は上記URLよりダウンロードすることができます。申請書に必要事項を記載のうえ、佐野市市有害鳥獣被害対策協議会事務局がある農山村振興課にご持参ください。

佐野市では中山間地域などにおいて新規就農を行う場合、必ず有害鳥獣被害対策をどの様に施すのかを聞き取り調査時に問われます。その際補助金を用いて必要な分の電気柵を設置する計画である旨をお答えしますと具体的な手続き方法なども教示いただけます。

この補助制度大変有用であることから予算に限りがあるため、早めに申請を行わないと年度内に補助を受けられないことも考えられます。補助を受けたいとお考えの方はお早めに申請手続きをお願いいたします。

ほかの市町村でも同様の補助金制度があるものと思います。弊事務所では電気柵設置補助金申請に関する相談も受けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

令和4年度佐野市農業委員会許可申請締切日等の日程が公表されました

2022-03-22

農業委員会事務局に提出する申請は毎月定められた締切日までに提出する必要がございます。締切日までに提出された申請は月末に行われる総会にて審議され、その後許可証が交付される流れとなっております。

佐野市では毎月10日が締切日となっており、10日が閉庁日の場合は直前の開庁日が締切日となります。

令和4年4月10日は日曜日であるため本来であれば直前の開庁日である8日(金)が締切日となりますが、8日(金)ではなく6日(水)になるため注意が必要です。令和4年4月の締切に許可申請書の提出を考えている方は早めに書類を整えるようにしましょう。

令和4年度の申請締切日は下記URLより確認することができますので、申請を行う前に1度ご確認ください。

https://www.city.sano.lg.jp/soshikiichiran/iinkai/nogyoiinkai/gyomuannai/agri/3452.html

農地付き空き家にて農地を取得する場合の手続きについて 『聞き取り調査』

2022-01-31

農地付き空き家制度による農地法第3条許可申請書が無事受付となった場合、新規就農による規定と同じ審査項目が課されるため許可証交付前に聞き取り調査が行われます。

一般の新規就農とは異なり簡易的な聞き取り調査となりますが、肝となる項目をきちんと押さえておかないと不許可処分となることも十分ありえます。

聞き取り調査の際に特に重要となる項目は下記のとおりとなります。

①就農についての動機・意欲

前回説明したとおり、添付書類として農地取得後5年以上継続して耕作する旨の誓約書が求められます。誓約書を提出したにもかかわらず不耕作状態が続くのは好ましいとは言えませんので、本当に就農する意欲があるかどうかの確認が行われます。

就農するに至った動機の確認も行われます。将来業として農業を行うことを考えており、まずはわずかな面積にて農作物の生産をして販路を開拓していきたい、家庭菜園よりも広めの農地にて農作物の栽培を行い自己消費していきたいなど、就農するに至った動機を伝えれば大丈夫です。

②農業経験の有無

農作業の経験がなければ耕作をすることは大変難しいです。農業経験があるかどうかの確認が行われます。

経験として挙げられるのは実際の農業経験はもちろん、高校・大学時代に農業科・農学部で修学していたことも挙げることができます。

農業経験はご家族・親族が所有する農地にて農作業の手伝いをしていた、勤務先で簡易的な農業を行っていたことも含めることができます。

③農機具の所有及び保管場所、操作技術

空き家に隣接する農地が1反(1,000㎡)程度と広めの場合、トラクターや耕うん機などの農機具を所有しているか、購入またはリースする予定はあるかの確認が行われます。

リースの場合、近所に住む親族所有の農機具を一時的にお借りして使用する計画であっても大丈夫です。操作技術も親族に教わりながら経験を積んでいくとお話するとよいでしょう。

平成31年4月に規制が緩和され、作業機を装着したトラクターが行動を走行できる様になりました。ただし作業機装着後横幅1.7mを超える場合には小型特殊免許では運転することができず、大型特殊免許取得が必要になります。

空き家に付属している農地は狭小なものが多いこともあり耕作する際そこまで大型なトラクターを操縦することは無いことも考えられるため、許可申請時点で大型特殊免許取得が必須ではありません。万が一大型のトラクターを操縦する際には事前に横幅や受有免許の確認を怠らない様注意喚起がなされます。

取得した小規模な農地で梅、柿、栗、キウイ、ラズベリーなど果物を栽培する場合、トラクターなどは保有していなくても大丈夫ですが、草刈りの効率を上げるため刈払い機を導入することを検討する様説明がなされることもあります。その際刈払い機の操作技術の習得方法は地元農業委員から指導を受ける、購入するメーカーからよく説明を受けるとお答えするようにしましょう。

本格的な就農とは異なり簡易的な聞き取り調査となりますが、事前に肝となる要点を押さえておく必要があります。弊事務所ではご依頼者様のお考えを基に想定問答を準備して当日に備える様にしております。

農地付き空き家にて農地を取得する場合の手続きについて 『添付書類』

2022-01-24

空き家バンクに登録された敷地に隣接する農地が空き家付属農地と指定された場合、農地付き空き家の要件を用いて農地法第3条許可申請を行うことが可能になります。通常の許可申請とは異なり追加の添付書類が求められます。追加で求められる書類は主に下記の3点になります。

①取得農地を5年以上継続して耕作する旨の誓約書

空き家取得者が耕作を続けることを条件になされる許可であるため、自らが5年以上継続して耕作する旨の誓約書を提出する必要がございます。

農地取得者自らが耕作を続けることが条件になるため転用行為だけでなく、第三者が耕作する権利を設定することもできません。

この制度の趣旨は投機目的ではなく農業を続けることにより耕作放棄地を解消することもあるため、誓約期間満了後も農地以外に転用行為が認められない場合もございます。

また本誓約書の効力は申請人だけでなく、申請人亡き後相続人にも義務が承継されることになります。

相続人が同居されているご家族の場合は申請人とともに耕作するケースもあるためそれほど負担なく耕作を続けられるものと思われますが、相続人が遠方に在住の甥姪のみの場合にも耕作義務が承継されすぐに売却することができないため、想定以上に負担となってしまいます。

せっかく空き家・不耕作農地が無くなったにもかかわらず、耕作義務のある農地を取得するのは控えたいとの理由から相続手続きが進まなくなってしまい、本不動産が再度空き家・不耕作農地となってしまうことも考えられます。

この様な事態を避けるために、甥姪のうちのお一人に事情を良く説明し承知いただいたうえで承継者として定め、誓約期間満了まで耕作を続けることを条件に全ての遺産を相続させる旨の遺言書を作成する備えも必要になるかと考えます。

②農地利用計画書

本来農地を取得するには下限面積以上の農地を所有していなければ取得することはできませんが、空き家に付属した農地と指定されたものについては下限面積以上の農地を所有していなくても購入することが可能になります。

そのため本制度は新規就農による農地取得とみなされ申請書に利用計画を記入するだけでなく、農地利用計画書を作成する必要がございます。

下限面積以上の農地を取得する新規就農の場合の利用計画書よりも簡易的なものであるため収支計算まで求める市町村は少ないかと思いますが、作付け予定作物や農機具の保有状況(取得済み、売買・リースなどにより取得予定など)は記入が求められます。

申請人以外に耕作予定従事者がいる場合にはその者が年間何日間作業に従事する予定であるかも記入する必要がございます。

③農地等の売買契約書の写し

通常の農地法第3条許可申請では売買契約書の添付は求められませんが、農地付き空き家による許可申請では添付書類として農地等の売買契約書の写しが求められます。

『農地等』とありますので売買契約書には農地とともに空き家も売買する旨の記載が必要になります。農地と空き家をセットで購入する場合に特別に認められる許可になるため、所有権移転登記手続きを同日に行う必要があります。『農地法第3条の許可を受けることを条件とすること』、『農地法第3条許可が不許可処分となった場合は本契約を解除する』などの文言が入った停止条件付き売買契約書にて契約を締結しなければなりません。

正式な売買契約書の写しが求められますので、収入印紙の貼付・割印も忘れずに行ってください。

今後需要のある許可申請になりますが、まだまだなじみのない分野になりますので手続きを進めるにつれて色々と悩まれることもあるかと思います。農地利用計画書や売買契約書の仕上げ方だけでなく、農地付き空き家を取得後の相続手続きなどで悩まれましたら弊事務所にお気軽にお問い合わせください。

農地付き空き家にて農地を取得する場合の手続きについて 『農地の要件・各論』

2022-01-17

前回は農地付き空き家『農地の要件・総論』に関する記事を投稿いたしました。今回は『農地の要件・各論』を掲載いたします。各論の項目は詳細に規定されておりますが、今回は特に重要となる項目につきまして投稿いたします。

①市街化区域内の農地は本制度の対象になりません

市街化区域内にあります空き家を空き家バンクに登録することはもちろん可能になりますが、空き家バンクに登録された市街化区域内の空き家に付属した農地を農地のまま取得することはできません。

市街化区域内の農地は市街化調整区域や都市計画区域外に存在する農地とは異なり、許可申請ではなく届出書を提出することにより転用可能であるため、本制度の対象外となります。

届出書を提出することにより農地台帳から外れるため固定資産税は宅地並み課税がなされますが、そのまま農地として利用し耕作を行うことも可能になります。

農地台帳から外さず農地のまま取得したい場合には、新規就農による農地法第3条許可を受ける必要がございます。そのため取得下限面積が原則50アール以上(一部地域は30アール以上)に加えまして、所定の農作業経験又は修学歴を満たさなければなりません。

②賃借権、地上権などが設定された農地は本制度の対象になりません

空き家に付属した農地を取得するには空き家取得者が耕作をするのが望ましいと判断されたときのみに許可要件を満たしますので、賃借権や地上権、使用貸借権、永小作権など第三者が利用する権利を有している農地は対象になりません。

第三者が耕作のための権利を設定している場合、農業委員会事務局にあらかじめ合意解約に関する通知書と解約書を提出する必要がございます。

賃借権、地上権などの権利も相続の対象になりますので権利の設定を受けて借り受けた者がすでに亡くなっており遺言書にて権利を相続するものの指定がなされていない場合、相続人代表者のみの同意だけでは足りず相続人全員の同意が必要になるため注意が必要になります。

空き家に付属した農地取得後所定の期間(5年間)は空き家取得者が自ら耕作を行う旨の誓約書を提出する必要がございますので、権利の設定を受けていた者が再度権利を設定し耕作を続けることはできませんので、解約手続きを行う際に十分説明をする必要もございます。

③非農地証明・非農地認定が可能及び相当な農地は本制度の対象になりません

農地を農地のまま取得するには農作業経験や修学歴、下限面積を満たす必要がございますが、農地以外の地目におきましては特段制限無く取得することが可能になります。

市街化調整区域や都市計画区域外に存在する農地の転用許可を受けられる土地であれば農作業経験を問われることなく取得することができますが、大半の土地は許可要件を満たさないため転用できない農地となり、譲り受ける者が現れず、不耕作地が増え続けております。

空き家に付属する農地が耕作されていないだけでなく、空き家敷地と一体となって宅地利用されている場合には一定の要件を満たしているときに限り、非農地証明願を受けることにより地目変更登記を行うことが可能になります。

宅地として一定期間(20年以上)利用されている農地を農地に復元せず、このまま使用を続けていく方が妥当であるとの判断がなされた場合には非農地証明願を受けられることの教示がなされます。

非農地証明願は行政上のサービス行為としての取り扱いになりますので、取り扱いの無い市町村もございますので注意が必要です。

また一定期間宅地として利用されていた場合でも、その農地が賃借権などの権利が設定されている農地であった場合は非農地証明願の対象にはなりません。無断で転用されている部分を農地に復元するか、転用許可を受ける必要がございます。

空き家に付属する農地が空き家とともに譲渡可能な農地か否か判断は大変難しいものがございます。判断に悩まれましたら弊事務所にお気軽にお問い合わせください。

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