農地付き空き家制度による農地法第3条許可申請書が無事受付となった場合、新規就農による規定と同じ審査項目が課されるため許可証交付前に聞き取り調査が行われます。
一般の新規就農とは異なり簡易的な聞き取り調査となりますが、肝となる項目をきちんと押さえておかないと不許可処分となることも十分ありえます。
聞き取り調査の際に特に重要となる項目は下記のとおりとなります。
①就農についての動機・意欲
前回説明したとおり、添付書類として農地取得後5年以上継続して耕作する旨の誓約書が求められます。誓約書を提出したにもかかわらず不耕作状態が続くのは好ましいとは言えませんので、本当に就農する意欲があるかどうかの確認が行われます。
就農するに至った動機の確認も行われます。将来業として農業を行うことを考えており、まずはわずかな面積にて農作物の生産をして販路を開拓していきたい、家庭菜園よりも広めの農地にて農作物の栽培を行い自己消費していきたいなど、就農するに至った動機を伝えれば大丈夫です。
②農業経験の有無
農作業の経験がなければ耕作をすることは大変難しいです。農業経験があるかどうかの確認が行われます。
経験として挙げられるのは実際の農業経験はもちろん、高校・大学時代に農業科・農学部で修学していたことも挙げることができます。
農業経験はご家族・親族が所有する農地にて農作業の手伝いをしていた、勤務先で簡易的な農業を行っていたことも含めることができます。
③農機具の所有及び保管場所、操作技術
空き家に隣接する農地が1反(1,000㎡)程度と広めの場合、トラクターや耕うん機などの農機具を所有しているか、購入またはリースする予定はあるかの確認が行われます。
リースの場合、近所に住む親族所有の農機具を一時的にお借りして使用する計画であっても大丈夫です。操作技術も親族に教わりながら経験を積んでいくとお話するとよいでしょう。
平成31年4月に規制が緩和され、作業機を装着したトラクターが行動を走行できる様になりました。ただし作業機装着後横幅1.7mを超える場合には小型特殊免許では運転することができず、大型特殊免許取得が必要になります。
空き家に付属している農地は狭小なものが多いこともあり耕作する際そこまで大型なトラクターを操縦することは無いことも考えられるため、許可申請時点で大型特殊免許取得が必須ではありません。万が一大型のトラクターを操縦する際には事前に横幅や受有免許の確認を怠らない様注意喚起がなされます。
取得した小規模な農地で梅、柿、栗、キウイ、ラズベリーなど果物を栽培する場合、トラクターなどは保有していなくても大丈夫ですが、草刈りの効率を上げるため刈払い機を導入することを検討する様説明がなされることもあります。その際刈払い機の操作技術の習得方法は地元農業委員から指導を受ける、購入するメーカーからよく説明を受けるとお答えするようにしましょう。
本格的な就農とは異なり簡易的な聞き取り調査となりますが、事前に肝となる要点を押さえておく必要があります。弊事務所ではご依頼者様のお考えを基に想定問答を準備して当日に備える様にしております。